子宮頸がんワクチンのメリットと副作用

 なお、子宮頸がんはワクチン接種で対策できます。「HPVはたくさんの型があるのでワクチンでも100%防ぐことはできませんが、感染リスクを軽減することはできます。10代前半など、性交を経験する前に接種するとより効果的です。最近では9種類の型の感染を予防できる9価ワクチンもあります。HPVワクチンを受けた上で、定期的に子宮頸がん検診を受けるのが最善策です」と高橋さんは言います。

 2013年4月から、12~16歳の女子を対象に定期予防接種化されていましたが、ワクチンを受けた10代前半女性に起きた体調トラブル(副作用)などを理由に、同年6月の厚生労働省の勧告に基づき、積極的な推奨がストップしました※。現在の接種は個人の判断に委ねられていますが、高橋さんは若い女性だけでなく、若い男性も全員受けるべきだと言います。

※2020年2月現在、無料の定期接種対象者は小学6年生から高校1年生に相当する年齢の女性。自治体によって決められた医療機関以外で接種したり、法定接種年齢を外れて受けたりしたときは有料になる。

 「子宮頸がんは性行為で感染しますから、女性がワクチンを打っていても相手の男性がウイルスを持っていたらかかるリスクがあります。本来は男性も全員受けることでより高い予防効果が期待できるんです」と高橋さん。

 HPVワクチンを受けた10代女性に起きた体調トラブルについては、現在、多くの専門家は、ワクチンとの関連性は低いと考えていると高橋さんは言います。「どんなワクチンにもアレルギーや副作用のリスクはあるので、それを心配し過ぎて接種しないのは、デメリットのほうが大きいと私は思います。他の先進国では接種は進んでいますので、世界の中でHPVウイルス保持者が多いのは日本だけという状況になってしまわないかと心配しています」