自分の体を知るために定期的な超音波検査を

 子宮の入り口にできる子宮頸がんに対して、子宮の奥にできるがんが子宮体がんです。エストロゲンという女性ホルモンによる刺激が長期間続くことなどが原因で発生します。自覚症状として多いのは不正出血。出産経験がない人や、閉経が遅い人に比較的多いそうです。子宮体がんのリスクから身を守るためにはどんなことができるのでしょうか。

 「子宮体がんも、検診でチェックすることは可能です。ただ、子宮体がんの検査は、子宮の中まで機械を入れて内膜から検体を採る必要があるので痛みもあります。検査時に膣の雑菌が子宮内に入ってしまうことによる感染のリスクもあります」

 こうした体への負担を考慮すると、特に20~30代で不正出血などの症状のない女性が定期検診で子宮体がん検査を受けるメリットは、子宮頸がん検診ほど高くないそう。自治体などで実施する子宮がん検診や人間ドックでは、子宮体がん検査も含まれている場合もありますが、担当医と相談してみるとよいでしょう。

 子宮体がんを早く見つけるためには、月経とは違う不正出血などがあったときにすぐ検査を受けることが大切です。子宮体がんは初期から不正出血があることが多いからです。「不正出血があるときや生理が長引くとき、反対に生理が何カ月も来ないときなどは、がんに限らず、病気が隠れていることも多いので、すぐに産婦人科を受診しましょう」

 では、子宮体がんの対策は、自覚症状があるまで自主的に行えることはないのでしょうか。「無症状の場合は、子宮体がんの検査をするより、超音波検査をしたほうがいいと私は思います。超音波検査は、膣の中に棒状の経膣プローブを入れて行いますが、膣内のみに入れるので痛みはほとんどありません。子宮体がんにつながる異常が見つかることもありますし、子宮筋腫や卵巣腫瘍などをチェックできるので、1~2年に1度は超音波検査を受けてほしいですね」

 もう一つの女性の生殖器特有のがんが、「卵巣がん」です。卵巣がんは見つけにくく進行が早いため、残念ながら検診でチェックすることはできないといわれているそう。ただ、超音波検査で卵巣がんの兆候を見つけられることもあります。がんに限らず、将来の妊娠・出産の可能性を下げる異常を見つけるためにも、経膣超音波検査は有効です。

 「例えば、出産経験がない人が超音波検査を受けたことで筋腫が見つかり、『この部分に筋腫があると妊娠しづらいから手術で取る』と判断することも可能です。超音波検査はレントゲンなどと違って体に被ばくの影響はありませんし、数十秒で済みます。子宮がん検査などで内診台に上がる機会があるなら、そのときに一緒に受けておくと安心です。子宮がん検査を申し込んだときに、超音波検査も合わせてお願いするといいでしょう。自分の体の状態を知っておくために、定期的に婦人科で超音波検査を受ける習慣をつけてほしいですね」

取材・文/川辺美希