ピルと鎮痛剤の効果的な活用法

 高橋さんは、生理中におなかが痛くても、鎮痛剤を飲まないで我慢している女性が多いと指摘します。「私が勤務している大学病院では、生理痛で救急車に乗って運ばれてきたけれども、痛み止めの座薬を入れたらよくなって歩いて帰るというケースが多々あります。薬を飲めば対処できるのに服薬していない女性が多いんです。生理痛で鎮痛剤を飲むのは、月に多くても1週間ほど。一時的に頓用で使用する分には悪影響はありません。むしろ生理痛で日常が妨げられるほうがよっぽど悪影響です。鎮痛剤は痛いときはためらわず使ってほしいと思いますね」

 飲み方のコツは、痛くなる前に飲み始めることだそう。痛みがピークのときに飲んでもすぐ効くわけではないため、生理が始まって、1日目、2日目と痛くなってくると分かったタイミングで、朝昼晩と時間を決めて飲んでおけば体がぐっと楽になるはずと高橋さんは言います。

 一方で、「痛み止めを飲まなければいけないほどの生理痛は異常だという認識も持っていてほしい」と高橋さん。「生理休暇というものがありますが、私は、ひどい生理痛があることを前提にした制度は問題だと思います。出勤できないほどの痛みは異常です。仕事を休んで耐えるのではなく、すぐに受診しなければいけない状況だという意識を、企業側も本人も持つべきです」

 さらに、高橋さんはこう言います。「現在の日本社会や女性の間には、ピルは生理痛や生理不順を整えるという意味で『マイナスの状態をゼロにするもの』という印象が根付いていますが、ピルは自分で生理をコントロールしたりするなど、むしろ生活を快適にする、『ゼロの状態をプラスにするもの』と考えてほしい。体がつらいからピルを服用するという考え方ももちろん大事ですが、生活の質をより向上させるパートナーとしても使ってほしいです」。正しい知識を身につけて、ぜひ積極的に生理に対処したいですね。

取材・文/川辺美希