社会から押し付けられる美の基準から自由になり、ありのままの自分の体を愛そうという「ボディ・ポジティブ」のムーブメントが今、世界中で広がっています。皆さんは、自分の体について考えたことはありますか。「痩せたい」と思う? 憧れるのは、どんな体? 何より、「私の体は私のものだ」という実感を持つことはできていますか。プラスサイズモデルの吉野なおさんと一緒に考えていきましょう。

 かつて摂食障害に苦しんでいた吉野なおさん。周囲の人々の支えもあり、自分の体への嫌悪感を拭い去ることができるようになっていきました(前回記事「吉野なお 自分の体への嫌悪から解放された3つの転機」)。プラスサイズモデルとして活動するようになった背景に、どのような思いがあったのでしょうか。

自分の体験を伝えたかった

 自分の体を否定的に捉える感情や、食べることに関わる悩みから開放された後、私は自分の体験を、過去の自分と同じように悩んでいる女性に伝えたいと思うようになっていきました。

 なぜなら、過食症を治したくて参考にしていた本にもネット上の情報にも、「具体的な心の変化」が書かれていないように思えたからです。

 「素敵なパートナーに出会って変わりました」という例は運次第ですし、私のように摂食障害を理解する恋人に出会えても、「痩せなくてはいけない」という自分の思い込みから逃れることができなかった人もきっといるはずです。

 「食べることの他に夢中になれるものを探す」「気分転換が大事」というアドバイスも理解はできるのですが、何だか理想論のような気がしていました。