社会から押し付けられる美の基準から自由になり、ありのままの自分の体を愛そうという「ボディ・ポジティブ」のムーブメントが今、世界中で広がっています。皆さんは、自分の体について考えたことはありますか。「痩せたい」と思う? 憧れるのは、どんな体? 何より、「私の体は私のものだ」という実感を持つことはできていますか。プラスサイズモデルの吉野なおさんと一緒に考えていきましょう。

 周囲から「太っている」などと繰り返し笑われたことがきっかけで、自分の体を、そして存在そのものさえも否定するようになっていった吉野なおさん(前回記事「プラスサイズモデル吉野なお 「デブ」と笑われた幼少期」)。今回は、体が理由で社会からの疎外感を深めていった思春期の経験について語ってくれました。

小学生時代からダイエット

 読者の皆さん、こんにちは。プラスサイズモデルの吉野なおです。

 同級生の子どもからも周囲の大人からも、自分の体や見た目について心ない言葉をぶつけられ、自分自身のことが大嫌いになっていった幼少期の私。友だちはいたので小学校生活は何とかなっていましたが、今思い出すとストレスが多く、疑心暗鬼でひねくれた性格の子どもでした。

 ちなみにこの小学生時代から、見よう見まねで食事量を減らしたり、走ってみたりと、ダイエットを何度か試みては失敗していました。大人でも難しいのに、栄養バランスさえよく分からない子どもが、上手なダイエットをできるはずがなかったのですが……。

 この後は成長と共に行動範囲や見る世界が少しずつ広がり、直接的な揶揄(やゆ)で悩むことよりも、太っている自分が社会の中でどんな立場なのか、ということを思い知らされていきます。