体重が減ると自信を持てる気がした

 ダイエット情報を調べ、お菓子や油物を食べることを控えたり、摂取カロリーを抑えたり。当時流行していた「プチ断食ダイエット」を参考に、食事を抜くことも増えていきました(都合のいいように解釈して、自己流で実践した部分もかなり大きかったと思います)。おなかはすいても、減っていく体重の数字を見ると、自信が持てるような気がしたのです。

 今振り返ると、このころから摂食障害になり始めていたのですが、当時の自分はそれが「普通のダイエット」だと思っていたので、周りの友だちに「食べる量少な過ぎじゃない?」「必要な栄養は摂った方がいいよ」と心配されても「大丈夫、ダイエット中だから」と言っていました。

恋の成就が暗闇の始まりに

 Aさんとは1度会って以来、1年以上メールのやり取りをするだけになっていたのですが、高校を卒業した後に再会。減量していた私は、Aさんに「すごいじゃん! 頑張ったね!」と褒められ付き合うことに。しかしそれは幸せなゴールではなく、長く続く暗闇の始まりでした。

 彼に「痩せてかわいくなった。もっと痩せたら、もっとかわいくなるよ」と言われ、さらなるダイエットを促されたのです。デートでレストランに行っても食べるものを制限され全く楽しめず、食べたものや体重を毎日彼にメールで送るようになりました。

当時の吉野さん(写真は吉野さん提供)
当時の吉野さん(写真は吉野さん提供)

 少しでも体重が増えると人格を否定するようなことを言われたり、「周りの人はみんなデブなお前のことを見下してるよ、悔しくないの?」というような話をされたり。太っていることがいかに醜く悪いことか、と言い聞かされ、自分の容姿への嫌悪感は和らぐどころか日に日に増していきました。

 明らかに摂取カロリーや栄養が足りていなかったのに運動もしていました。ふらつきがあり、生理不順にもなっていましたが、当時の私にはそれよりも痩せることが大事。彼の好みに合うように髪を長く伸ばし、ファッションのテイストを変え、身も心もだんだんと彼にコントロールされるようになっていきました。

 でも当時の私は、どんなにひどいことを言われても「今は彼に愛されるために頑張っているんだ」「つらいけれど、これはいつか理想の自分になるためなんだ」と思い込んでいたのです。