社会から押し付けられる美の基準から自由になり、ありのままの自分の体を愛そうという「ボディ・ポジティブ」のムーブメントが今、世界中で広がっています。皆さんは、自分の体について考えたことはありますか。「痩せたい」と思う? 憧れるのは、どんな体? 何より、「私の体は私のものだ」という実感を持つことはできていますか。プラスサイズモデルの吉野なおさんと一緒に考えていきましょう。

 恋人に言われるがままに無理なダイエットを続け、摂食障害にまで追い込まれてしまった吉野なおさん(前回記事『「過食症は甘え」 モラハラ彼氏の言いなりだった過去』)。自分の体を嫌悪してしまう気持ちから、どのようにして解放されたのでしょうか。

体への嫌悪感と、食べることへの罪悪感

 交際相手の影響で始めたダイエットで摂食障害になっていった私は、ダイエットを始める前よりも、自分の体に対する嫌悪感と「食べること」に対する罪悪感が強くなっていました。

 人と食事をしながら会話を楽しむなど、「食」とは本来、コミュニケーションと密接に関わるものでもあります。それなのに、食べ物を目の前にするとどうしてもカロリーや太ることへの不安で頭がいっぱいになってしまい、人と一緒に食事をとることにさえ、引け目を感じるようになっていました。以前は当たり前にできていた「普通に食べる」「おいしく食べる」という感覚が分からなくなっていたのです。

 周りに心配されることが嫌で、人前では普通に振る舞っていましたが、一人になると我慢の糸が切れたように過食してしまう日々。外側の自分と、内側の自分の溝がどんどん深くなっていきました。

 そんな状態から今の自分に変わるまで、いくつかの転機がありました。今回はそのお話をしていきます。