分かりやすく面白い経済小説も

小説
『おカネの教室』(高井浩章著、インプレス)

 学校のちょっと変わった先生からお金や経済のことを学んでいくというストーリー。経済小説というと難しそうなイメージがありますが、この本は現役の経済記者がお子さんに経済のことを知ってもらおうと書いたものなので、非常に読みやすいです。

 物語中では、中学生でも理解できるようにお金や経済にまつわる話を先生がかみくだいて教えてくれます。「リーマン・ショック」、「資本主義」、「株式投資」、「仮想通貨」など、普通に勉強しようとすると難しい説明になりそうな話題を、主人公たちと一緒に考えながら学ぶことができます。

 また、主人公は中学2年生の男子なのですが、同じクラブの女の子との甘酸っぱい感じや先生のキャラの濃さなどもあって、小説としてもとても面白い。子どもでも読みやすいのはもちろん、大人も知らないような経済の知識が詰め込まれているので、誰もが読むべき一冊です。

 他にも、マンガなら資本主義と学生生活がテーマの『市場クロガネは稼ぎたい』(梧桐柾木著、小学館)、映画であれば「お金とは何か」を考えさせられる『億男』(大友啓史監督)なども、物語の中で楽しみながらお金の仕組みを学ぶことができます。

 お金のことは考えるだけで憂鬱、という人も少なくないかもしれませんが、こういったエンタメ作品からお金との距離を縮めてみてくださいね。

文/横川楓 イメージカット/PIXTA