社員が法定労働時間より長く働いた場合、会社に割増賃金の支払い義務が発生


みすず なるほど、だから「36協定」っていうのか。ほかにも聞きたいことがあったんだ。「法定労働時間」って何? 「所定労働時間」とは別物なの?

ふーみん その違いは大切だね。みすずの会社の定時は何時から何時で、休憩時間は何時間ある?

みすず 定時は9時から17時で、休憩時間は12時~13時の1時間だよ。

ふーみん ということは、1日の労働時間は7時間ってことだね。会社によって決められた労働時間のことを「所定労働時間」というの。「法定労働時間」は、法律で定められた労働時間のことで、1日8時間、1週間で40時間と決められているよ。


 法律では、働き過ぎを防止するため1日8時間、1週40時間という法定労働時間が定められています。会社は、この範囲内で、所定労働時間を設定することができます。法定通り1日8時間の会社もあれば、7時間の会社もあるでしょう。いわゆる「残業」は、会社から決められた所定労働時間を超える時間のことを指しますが、法律で定められた「時間外労働」は法定労働時間を超えた場合を指します。

 これは、割増賃金を考える際に重要になります。社員が(法定労働時間を超えて)時間外労働をする場合、会社には割増賃金の支払い義務が発生します。

 割増率は1.25倍以上。時給1000円の場合は最低1250円を支払う必要があります。例えば、所定労働時間が7時間の場合、所定労働時間を超えて働いた分についても、残業代の支給が必要になりますが、割り増し分の支給までは義務付けられていません。

 所定労働時間が7時間の場合は、総労働時間、8時間までの1時間は1000円を支払うことで足ります。1日の労働時間が8時間を超えた際は、そこから法定労働時間の時間外労働となり、割増賃金の支払いが必須になります。