万一、罹患(りかん)したら?


はるか なるほど。万が一、新型コロナウイルスにかかっちゃった場合、どうしたいいの? 仕事は休むことになるだろうけど、有給休暇の残りもそんなにないし、給料が減るのは正直辛いよ。

ふーみん 新型コロナウイルス関連で会社を休んだ場合には、傷病手当金の制度が使えるかもしれないね。無理して会社に行って感染を拡大させないことが大事だよ。


 傷病手当金とは、プライベートで負ってしまったケガなど、業務外の事由による病気やケガの療養のために、会社を休んだ場合に健康保険から受けられる所得保障の制度のことです。コロナウイルスに感染してしまって出社できない場合や、発熱が続いて会社に行けない場合にも利用が可能です。

 では、実際にどのような場合に傷病手当金を利用可能か見てみましょう。

【傷病手当金制度が使えるケース】
・新型コロナウイルス感染症に感染し、療養のために仕事ができない場合
・自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、仕事ができない場合
・発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていて、仕事ができない場合
・発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていたが、医療機関を受診した際に別の疾患にかかっていて仕事ができない場合

※発熱等の自覚症状については、37.5℃以上の発熱が4日以上続いている場合が目安です。

 新型コロナウイルスに感染した症状がある場合だけでなく、検査が受けられないものの発熱などがあった場合にも申請できることがポイントです。

 通常、傷病手当金を利用する際は、会社が健康保険組合などに申請します。その際、利用する社員による医療機関の受診が必須です。しかし、「帰国者・接触者相談センター」に電話がつながらなかった場合や、相談して自宅待機を指示された場合など、医療機関にかかれなかったときは、申請書の備考欄に「休んだこと」を会社に明記してもらうことで、申請が可能になります。自覚症状がある人は、周りのためにも休むことが大切です。その場合に所得保障があることを覚えておいてください。

 傷病手当金の支給額は、【支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額(給料の額によって決まる社会保険の等級)を平均した額】÷30日×(2/3)となります。ややこしいですが、ざっくりと今の給料の2/3と思っていただければ問題ありません。また、傷病手当金は4日以上連続で会社を休んだ場合に4日目の休業分から支給されます。最初の3日までは有給休暇を使用するようにしてください。

 収束の見通しがつかない新型コロナウイルスですが、自分の働き方も柔軟に変えつつ対応していくことが必要になるでしょう。今後の状況次第では、制度が変わってくる可能性もあります。不明な点は、上司や人事総務部門に確認するなどして、安心して働ける環境をつくりましょう。テレワークなどはうまく利用し、この先も継続して利用できるようにしたいですね。みんなでこのピンチを乗り越えられるよう頑張りましょう。

文/細川芙美 写真/PIXTA