この連載では、30歳の社会保険労務士・ふーみん先生こと細川芙美さんが、20~30代の働く女性が知っておきたい情報をお伝えしています。今回のテーマは、2019年4月に施行された「ホワイトカラー・エグゼンプション(高度プロフェッショナル制度)」です。

 暑さも続きますが、あっという間に9月になりましたね。いかがお過ごしでしょうか。

 さて、先日、友人のサヤカとお気に入りのカフェに期間限定のパフェを食べに行ったときのことです。いつもいろいろなことにアンテナを張っているサヤカは、選ぶお店のチョイスでも仕事の話でもたくさんの刺激を与えてくれます。


サヤカ ふと思ったんだけど、前に「残業代ゼロ法案」って報道でよく見聞きしたよね。あれって、結局あの後どうなったんだっけ?

ふーみん 欧米で「ホワイトカラー・エグゼンプション」と言われている「高度プロフェッショナル制度」のことだね。高度な専門職に就いている人にだけ適用されるもので、残業代がなくなるわけではないよ。

サヤカ 「高度プロフェッショナル制度」かぁ……。聞いたことあるかも。

ふーみん 日本も欧米にならって、この制度を作ったんだよ。

サヤカ そっか。あまり理解してなかったから教えてほしいな。


 今から2~3年ほど前に話題になったホワイトカラー・エグゼンプション(脱時間給制度)という言葉を覚えていますか。「残業代ゼロ法案」「定額働かせ放題」などともいわれ、当時はメディアでも頻繁に取り上げられました。正式には高度プロフェッショナル制度(高プロ)と呼ばれるものです。

 残業代ゼロ? と驚かれた方も多かったと思いますが、もちろん政府の狙いは生産性の向上や働き方改革の推進。時間による給与体系から成果による給与体系になることによって、残業代をあてにした労働時間を削減し、柔軟な働き方を目指すものです。単に残業代を払わなくてよいとするものではありません。

 今回は、2019年4月に施行された高度プロフェッショナル制度が、1年たった今はどのようになっているのかを、制度の解説とともにお話したいと思います。

高度プロフェッショナル制度とは

 ホワイトカラー・エグゼンプション、つまり、高度プロフェッショナル制度とは、職種、年収など、特定の条件を満たした労働者に対して、労働時間ではなく仕事の成果に対して賃金を支払う制度のことです。

 現在日本では、働いた時間に対して賃金をもらうのが一般的です。1日の労働時間に対して給料をもらい、残業や休日出勤をすれば時間外手当が、深夜に働けば深夜の割増手当が付きます。

 一方で高度プロフェッショナル制度の適用対象者となると、労働基準法の労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金などの規定が適用されません。長く働いても、短く働いても、残業、休日出勤をしても賃金額に変わりはありません。あくまでも、仕事の成果のみをもって賃金が支払われます

 高度プロフェッショナル制度は、誰もが適用となるわけではありません。そもそも制度の名前が高度プロフェッショナルという通り、高度の専門的知識などを有している人が対象となります。

 高度プロフェッショナル制度を適用するための条件を見てみましょう。