何時間働いても定時勤務だとみなされる?

【「事業場外みなし労働時間制」を採用するための3条件】
1)事業場外(会社の外)で仕事をしていること
2)会社からの指揮監督がないこと
3)労働時間を算定することが難しいこと

 上記3つを満たした場合、原則は所定労働時間(始業から終業までの時間)の労働をしたものとみなされます。

 チヒロの場合、基本的にはオフィスに行くことはほとんどなく、一人で病院回りをしています。また、「今日はこの病院を回ること」といった上司からの指示もなく、回る病院の予定は自分で立てています。直行直帰することも多く、オフィスでタイムカードを切ることもないため、会社側がチヒロの労働時間を算定することも難しそうです。


チヒロ 「なるほどー。だから営業はみなしってことなのね。うちの会社の定時の勤務時間は8時間だから、実際は長時間働いていたとしても8時間しか働いていないことになるのか……」

ふーみん 「原則はそうなるね。でもね、会社が所定労働時間では絶対に終わらないような仕事を残業代を支払わずに社員にさせないように、法律で労働者を守っているんだよ」


 労働基準法では、事業場外の業務を遂行するために、所定労働時間を超えて労働することが必要な場合は、その業務の遂行に必要な時間をみなし時間にするという規定があります。簡単にいうと「所定労働時間より、長く時間がかかるような仕事ならば、みなし時間はあらかじめ、実際にかかる時間に設定しましょう」ということです。

 会社の所定労働時間が8時間だからといって到底8時間では終わらない仕事を会社が社員に与え、残業代逃れのために制度を悪用することのないよう、10時間かかる仕事の内容であれば、みなし時間を10時間にする必要があると規定しているのです。

 この場合、会社は毎日2時間分の残業代を払う必要があります。この分の残業代を「営業手当」「業務手当」のような名目で支給している会社もありますので一度確認してみてくださいね。営業手当で全額がカバーされていないと、未払いの可能性があります。