毎日働いているのに、働くことや社会保障に関する法律の知識がない人のほうが多いですよね。30歳の社労士・細川芙美さんが、20~30代の働く女性が知っておきたい情報を教える本連載。今回のテーマは、「みなし労働時間制」です。理解を深めるための「○×形式」クイズも最終ページに掲載しています。ぜひトライしてみてください。

「営業だから残業代はもらってない」 それって大丈夫?

 こんにちは! 社会保険労務士の細川芙美(ほそかわふみ)です。平成生まれ、doors世代の社労士として読者の皆さんと同じ目線で、働くうえで直面する悩みにお答えしていきたいと思っています。気軽に「ふーみん先生」と呼んでくださいね。

 さて、友人・チヒロと久々に会った夜、東京駅近くの駅ビルでハンバーガーを食べていたときのことです。隣でビールを豪快に飲み干すチヒロは製薬会社の営業担当としてバリバリ働いています。遅くまで仕事をしているのか、私がLINEを送っても返事が深夜になることもしょっちゅう。


ふーみん 「チヒロ、いつも忙しそうだね。ちゃんと残業代はもらえてるんだよね?

(ふーみん先生の注記:職業柄、ついつい友人にもそんなことを聞いてしまう私です。)

チヒロ 「いや、営業だからもらってないよ! よく分かんないけど、みなし? みたいな感じ」

ふーみん 「あーなるほど。『事業場外みなし』だね」

チヒロ 「残業代の代わりに営業手当はもらってるけど、よく分からないから教えてほしいな」


 ということで、今回は「みなし労働時間制」について解説していきたいと思います。ちなみに、2019年10月18日に20代の男性社員が「みなし労働での未払いの残業代」の請求を求めて勤務先のアニメ制作会社を提訴した事件もありましたね。

 みなし労働時間制とは、「労働時間を正確に算定することが難しい場合に、一定の時間労働をしたものとみなす制度」です。

 みなし労働時間制は、下図の通り「事業場外みなし労働時間制」と「裁量労働制」の2つに分けられ、裁量労働制はさらに2種類に分けられます

 チヒロのような外回りの営業職の場合は、事業場外みなし労働時間制が採用されていることがあります。この制度を会社が採用するには次ページに紹介する3つの条件を満たす必要があります。