毎日働いていても、働くことや社会保障に関する法律の知識がない人は多いのでは? 30歳の社労士・細川芙美さんが、20~30代の働く女性が知っておきたい情報を教える本連載。今回のテーマは、「有給休暇取得義務化」です。理解を深めるための「○×形式」クイズも最終ページに掲載しています。ぜひトライしてみてください。

法律で有休を5日取らなければいけなくなった

 こんにちは! 社会保険労務士の細川芙美(ほそかわふみ)です。平成生まれ、doors世代の社労士として読者の皆さんと同じ目線で、働くうえで直面する悩みにお答えしていきたいと思っています。気軽に「ふーみん先生」と呼んでくださいね。

 さて、高校時代からの仲良し5人組で、恵比寿のイタリアンレストランで女子会をしていた時のことです。前向きに働いたり夢を追っていたりと、いつもパワーをくれる友人たち。食事中、リフレッシュのために旅行に行こうという提案が! でも、その日程がなかなか決まりません。


ふーみん 私は有休取れるから平日でもいいよ。

みどり うん、私も平日で大丈夫。今年に入って、会社が「有休取ってください」って言ってくるんだよね。

ふーみん 法律で有休を5日取らないといけなくなったからね。それで会社も厳しく言うようになったんだよ。

ゆうこ 私の会社もそう! 部署ごとに会社が日にちを指定して有休取らせたりしてる

ふーみん それは、計画有休だね。

ゆうこ ふーみん、詳しく教えてよ~!


 旅行の日程調整から大きく話題がそれてしまったことは言うまでもないですが……、今回は年次有給休暇の5日取得義務について解説したいと思います。

 年次有給休暇(以下、「有休」)の制度って、意外と理解されていないんです。早速、有休の制度の整理をしてみましょう。

 有休を付与される条件としては下記の2つです。

【会社から有休を付与される条件】
(1)半年間継続して雇われている
(2)全労働日の8割以上を出勤している

 つまり、入社してからの半年間で労働日の8割以上出勤していれば、有休が付与(会社が有休を労働者に与えること)されます。全労働日は、働く義務がある日となり会社の公休などは含まれません。

 入社したその日に有休を付与される場合があるかもしれませんが、それは会社がおまけで半年経過する前に有休を付与していることになります。

 また、上の2つの条件を満たしていれば、職種や雇用形態にかかわらず有休は付与されます。「デスクワークではないから」「契約社員だから」といった理由で有休が付与されていない場合もありますが、それは許されないことです。また、課長や部長などの管理監督者であっても有休は必ず付与されます。

 では、実際にもらえる有休の日数を確認してみましょう。

 有休は入社半年で10日間、そこから1年経過するたびに、8割出勤を満たしていることで、以下のように所定の日数が付与されることが「労働基準法」により定められています

 上記の日数が、週5日フルタイム勤務の一般の労働者に付与されます。一般の労働者よりも労働日が少ない人については、労働日数に応じて比例的に付与されます。この仕組みのことを「比例付与」といいます。「週3日しか働いていないから有休がもらえない」ということもありません。付与される日数は以下の通りです。