生理痛の放置は、不妊や子宮内膜症のリスクを増やす

 でも、産婦人科やレディースクリニックなどの医療機関を受診している人は38.5%しかおらず、大半の人は不快な症状への対策として体を温める(59.9%)、市販の鎮痛剤を飲む(58.1%)、休養や睡眠時間の確保(50.4%)というセルフケアでの対症療法にとどまっていました。

 実は、生理による不快な症状、特に月経痛を治療せずに我慢や放置することはQOLや生産性を低下させるだけでなく、子宮内膜症という病気や不妊になるリスクが上がることがわかっていますが、最新の調査でも46%の女性はそのことを知らないという結果でした※2

※2 日本医療政策機構「現代日本における子供を持つことに関する世論調査」2021年

 「“生理でつらいのは当たり前”ではありません。つらい生理痛は“月経困難症”という病気で、婦人科で治療できます。早く治療すれば、月経困難症が子宮内膜症に進展するのを抑えることもできますし、治療して体の痛みが軽くなると、心もコントロールしやすくなります。その結果、毎日の生活、そして人生に大きな違いが出てくるのです」。イーク表参道 副院長の高尾美穂さんは、症状のつらい人が受診をするメリットをこう話します。

 しかしながら、医療機関を受診していない人が6割強というのが現状です。受診しない理由を聞いてみると、61.9%が「病院に行くほどの症状ではないと思うから」と答えました。次いで「症状が出る期間だけ我慢すればいいから」(32.7%)、「忙しくて時間がないから」(29.5%)という回答が続きました。そう考えてしまう背景に、「生理でつらいのは当たり前」(17.9%)といった誤解や思い込みもあるようです。