利用者は1割以下の生理休暇。「休んで受診」で前向き活用を

 「勤務先にあるサポート制度」のトップは生理休暇(62.3%)でしたが、生理休暇を「ほぼ毎回利用している」という人はわずか1.9%。「たまに利用している」5.6%を足しても、利用者は1割以下という結果でした。多数派は「利用したいと思うことがあるが、利用したことがない」(47.7%)で、症状が強い人でも57.6%。つらくても、休みたくても休めない、厳しい現状が見えてきます。

 生理休暇を使わない理由を聞くと、「男性上司に申請しにくい」が61.8%で、「利用している人が少ないから申請しにくい」(50.5%)、「休んで迷惑をかけたくない」(36.2%)が続きます。女性たちの複雑な心の内側が透ける結果ですが、仮に男性上司に申請しやすい状況が作れたとしても、女性も主戦力として働くのが当たり前の今の時代に、生理で毎月休むのは物理的にも精神的にも、現実的な解決策とは言えません。

 高尾さんは次のように話します。「生理休暇を取得することは女性の権利ですが、ただ毎月休んで一日中寝ている、というのを繰り返すのではなく、生理休暇を婦人科の受診に充てるなど、いい状態を作るために活用してほしいです」。

 女性たちも、治療が必要だと感じているようです。その証拠に、今ない制度で勤務先にあってほしい支援策のトップは「婦人科受診費用の補助」(33.4%)、次が「低用量ピルの服薬支援」(30.4%)でした。

 会社の支援によって経済的な負担が軽減すれば、受診者は増え、それによって体調が改善する人も増える可能性が大いにあります。

 すでにこうした支援策の恩恵を受けている人は、調査時点では数パーセントでしたが、今後、制度を導入する企業が増えることが待たれます。

 「企業は、健康診断に婦人科の検診項目を追加したり、婦人科の受診費用を補助したりするなど、働く女性のための体制をもっと整えてほしいです。そして女性たちも、働く上で、自分でコンディションを管理するのは社会人として本来当然のことと考え、会社が婦人科受診などの補助をしてくれない場合でも“仕事や生活に前向きになれる治療は自己投資”ととらえて、積極的に選択してほしいですね」と高尾さんは話します。

高尾美穂さん
高尾美穂さん 女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長、文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー、一般社団法人 アスリートヨガ事務局 理事。日本産科婦人科学会 専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。内科・婦人科・乳腺の診療を通して女性の健康をサポートし、ライフスタイルに合った治療法を提示、選択をサポートしている。

※調査についての詳細なデータは、こちらのプレスリリースをご覧下さい。

PP-PF-WHC-JP-0236-24-01

取材・文/米川瑞穂(日経BP 総合研究所) 図表/増田真一 構成/黒住紗織(日経BP 総合研究所)

医師と著名人が生理の悩みをトーク!

 動画はこちら


生理快適プロジェクトとは?
「生理快適プロジェクト」では、女性たちが自身のカラダのリズムを適切にマネジメントすることが“自分の健康向上”と“仕事のパフォーマンス向上”、“日常生活の快適”につながるという事実の啓発と、そうした女性を企業や社会が支援することの必要性をメッセージする活動を行っています。
同時に、女性たちの生理トラブルを減らすことが、女性活躍、不妊対策、生産性の向上につながり、SDGs的にも役立つとの考えから、2021年夏には「生理で悩む人を減らすためのアクションプラン」を発表。女性・企業・社会が取り組みたい具体的な方法などを下記のサイトで紹介しています。

■詳しくはこちらを参照してください
生理快適プロジェクトの活動はこちら