Q11 低用量ピル*2を使っても痛み(排便痛)があります。肛門科で検査をしたら異常はないと言われました。ほかの病気の可能性がありますか?
A11 ダグラス窩という場所に子宮内膜症があるか、ほかの婦人科系の病気の可能性も。(甲賀さん)
排便痛がある場合は、まず痔を疑いますが、肛門科を受診して異常がないということなら、婦人科医に相談してください。
子宮と直腸の間にある「ダグラス窩(か)」という場所に、子宮内膜症がある可能性が考えられます。その場合、排便痛を起こす人は少なくありません。
低用量ピル*2をのんでも痛みが軽快しないということですので、子宮内膜症の可能性か、あるいは、ほかの婦人科系の病気の可能性もあります。もしそうなら、低用量ピル*2だけでなくほかの治療薬を使うなど、治療方法も変わってきます。
Q12 生理痛がひどくて生理休暇を取りたいのですが、男性上司に言いにくくて困っています。いい方法はありませんか?
A12 仲間を探してみんなで話してみては。生理休暇に婦人科を受診して治療することで労働生産性が上がり、会社のメリットにも。(甲賀さん)
男性上司に言いづらい気持ちはわかりますが、ここはぜひ勇気を出して言ってみることはできないでしょうか。ひとりで言いづらければ、同僚や少し年上の女性に相談してみるのはどうでしょう。生理痛の仲間を探して、みんなで上司に話してみることはできませんか。
生理休暇は国に認められていて、福利厚生として働く女性の権利でもあります。もし会社の産業医がいれば、生理休暇が取りにくいことを相談してみるのもいいですね。生理痛は、あなたが悪いわけではないのですから。
そして、取得した生理休暇を使って婦人科を受診し、生理痛を治療することも大切です。生理痛が緩和できれば、労働生産性も向上します。会社にとってもメリットがありますよね。痛いときは休んで、治療して、生産性を上げるんだと考えて行動してみてはどうでしょうか?
産婦人科医として、私は、企業や社会全体の生理への理解がもっと進んでほしいと願って活動しています。次に続く若い女性たちのためにも、生理痛のことを臆せずに上司や会社に話せる社会になってほしいです。
Q13 低用量ピル*2で生理痛を治療していますが、40歳を超えたら服用はおすすめではないと聞き、心配しています。40歳以降の生理痛とは、どのようにつきあえばいいですか?
A13 医師と相談し、副作用に十分気をつければ50歳までは使ってもOKです。ほかの治療法も選択肢に加えて。(甲賀さん)
40歳以降の低用量ピル*2は、添付文書上では慎重投与となっています。禁忌ではなく慎重投与なので、医師と相談の上、副作用に十分気をつけ、検査しながら使っていけば50歳まではOKです。
また、低用量ピル*2以外にも、40歳以上の人にも使えるプロゲスチン製剤や黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システムなどの治療法もあります。かかりつけの産婦人科医と、低用量ピル*2以外の選択肢についても相談してみてください。
Q14 閉経年齢にさしかかっています。いつ、低用量ピル*2を止めるべきですか?
A14 50歳までにタイミングを見て一度止める計画を。止めてみたら、もうつらくなかったという人も少なくありません。(甲賀さん)
低用量ピル*2は、閉経後は使ってはいけない薬です。また、日本のガイドラインでは50歳までにはやめるようにと明記されています。50歳以降に使うには含まれているエストロゲンの量が多すぎて、血栓症のリスクが高まるからです。
もし、あなたが50歳前であれば、婦人科医と相談して副作用のチェックをしてもらい、問題なければ慌てて服用を止めなくてもいいとは思います。
けれども50歳までには止めなくてはいけないのも事実。50歳までに、どこかのタイミングで、一度、止めてみる計画を立てることをおすすめしています。たとえば、子どもの結婚式や結婚記念日の大事な旅行など、重要なライフイベントがない1カ月を見計らってのむのをやめてみます。すると、意外とつらくなかったという人も多いです。
止めてみたら、変わらず生理痛がつらかったという人の場合、50歳前なら再開するか、前述Qのように別の治療法を考えます。
また、低用量ピル*2をやめてみたら更年期症状が出てつらいという人は、ホルモン量が低用量ピル*2より少ないホルモン補充療法(HRT)などの更年期障害の治療に切り替えることができます。
執筆/増田美加(女性医療ジャーナリスト) 編集/黒住紗織(日経BP総研メディカル・ヘルスラボ)
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