――低用量ピルとの出会いは?

産婦人科のドクターの話を聞いて、興味を持ちました

「その後、サッカー女子日本代表チームの産婦人科のドクター(男性医師)と出会いました。そのドクターから「女性の体とスポーツ」についての講義を受けました。

 義務教育では、保健体育の教科書に男女の性差や体のことが少しありましたが、生理や性のことなど踏み込んだ内容は、どこでも学ぶ機会がありませんでした。

 知ってるつもりではいたけれど、「なぜ生理が来るのか?」「なぜ痛いのか?」女性の体のことを本当に学んだのは、それが初めてでした。講義の中で、生理痛を我慢しすぎると、子宮などのトラブルに繋がるということも知りました。

 低用量ピルを試したのは、2011年のワールドカップの前あたり。20代半ばでした。

 ドクターの話を聞くまでは、低用量ピルは避妊薬だと思い込んでいたのですが、低用量ピルは生理痛の治療薬で、症状が楽になる、ドーピングにも引っかからない薬と聞いて、使ってみようかな、と思えたんです。体のことを理解したうえで、信頼できる医師とメリットやデメリットについて、しっかり話ができたことが大きかったです」

――のんでみたら、何か変わりましたか?

私はいつも変わらないコンディションでプレーできるようになりました

「低用量ピルをのんだら、痛みが楽になって、快適に過ごせるようになりました。経血の量も少なく、期間も短くなりました。「体重が少し増えるかも?」と思っていましたが、私の場合、そんなことはありませんでした。

 月経困難症の治療に用いられる低用量ピルにも種類があって、私は主治医の先生と相談し、2~3カ月に1回、出血が起きるようなのみ方をしています。つらい月経の頻度が減ってメンタル的にもすごく楽です。ユニフォームが白いときなど、汚れるのを気にしながらではプレーに集中できませんからね(笑)。

 ピルをのむ以前は、生理のときに、眠くて、だるくて、おなかが痛くて、夕飯の途中に寝てしまうこともありました。でもピルを使うようになってからは、いつも、変わらないコンディションでパフォーマンスも落ちず、普通にプレーできるようになりました」**、***

** 低用量ピルには、避妊目的で使用される経口避妊薬(OC)と治療目的で使用される保険適用のある低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP剤)があります。
*** 川澄さんの個人的な感想です。効果、副作用の出方、感じ方には個人差があります。