2011年、FIFA女子ワールドカップ優勝メンバーで、今も現役で活躍し続けているサッカー米女子リーグ選手の川澄奈穂美さん。「産婦人科医はアスリートとしてだけでなく、女性としても心強い存在」「男性にも、もっと生理のことを知って欲しい」と話します。大学時代からつらい生理痛*があり、2011年のワールドカップ前から今も低用量ピル**をずっと服用しているという川澄さん。生理や低用量ピルの使い方、産婦人科ドクターとのつきあい方について伺いました。
1回目 SHELLYさん×甲賀先生 生理痛の上手なマネジメント法
2回目 薬を使わず生理痛を軽くするには?14の質問に回答
3回目 サッカー米女子リーグ選手 川澄奈穂美さんが語る ←今回はここ
4回目 10代の娘が生理で困ったら、親としてどうする?
5回目 読者が婦人科医と生理痛をぶっちゃけトーク!
6回目 あの人に聞く、つらい生理のマネジメント体験(予定)
* 生理痛の症状や低用量ピルの効き方には個人差があります。
** 低用量ピルには、避妊目的で使用される経口避妊薬(OC)と治療目的で使用される保険適用のある低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP剤)があります。
――川澄さんは、生理痛に悩んだ経験があるそうですね。いつ頃どのような痛みだったのでしょうか?
生理痛は大学のころから。でも薬の服用には抵抗があって…
「生理(月経)痛の記憶は大学生くらいからです。でも、薬をのむのが好きではなかったので、痛み止めものんだことがありませんでした。その期間は、とにかく痛みに耐えて、生理が終わるのを待っていた感じです。それが普通だと思っていました。一番つらかったのは、生理の1~2日目でした。
初潮は、12~13歳。中学生のころは、生理痛の記憶がないので、痛みはほとんど感じていなかったのだと思います。痛みがつらくなったのは、大学のころからでしょうか。
倒れるほどの痛みではないものの、月1回生理時は「うわぁー。おなかが痛~い」と思うくらいの痛みがありました」
大学4年生のころ、印象的な出来事があったと言います。
「ひざの前十字靭帯の手術で入院していた際、手術後、痛み止めの点滴をしていたんですが、ちょうど生理中なのにいつものような生理痛がなくて。痛み止めでこんなに生理痛が治まるのか、と実感したのです」
生理痛があったのに、薬をのまなかったのはなぜだったのですか?
「“生理は痛いもの”という思い込みです。“薬はのまないほうがいい”という根拠のない考え方。論理的な理由があるわけでないのに、単純に薬が嫌いで、根性で乗り切るという、まるで昭和の根性論です。
当時、大学でもスポーツ選手の生理について教えてくれる人はいませんでしたし、プレーができないほど痛いわけではなかったので、積極的に対策を調べようともしませんでした。知識がなかったんです。だから、産婦人科に行くという選択肢も頭に浮かびませんでした」