低用量ピルには2種類ある、避妊目的ならOC、つらい生理痛の治療ならLEP剤

 今、日本で処方されている低用量ピルには、経口避妊薬であるOC(Oral contraceptive)だけではなく、「月経困難症(日常生活に支障が出るほどつらい生理痛)」の治療薬として、国に認められているものがあります。それがLEP(Low dose estrogen progestin)剤です。

 LEP剤とOCの違いは、どんなところなのでしょうか?

 「実は、LEP剤とOCは、どちらもエストロゲンとプロゲステロンが配合されている薬で、ほとんど成分は同じです。いずれも排卵を抑える作用がベースとなり、一方は生理痛の改善効果を、もう一方は避妊効果を主目的としているのです。

 LEP剤とOCのいちばんの違いは、OCは保険適用外の薬ですが、LEP剤は子宮内膜症に伴う痛みの改善や月経困難症治療剤として保険適用されているものもある点です。

 OCは、避妊目的の場合に処方される薬です。避妊は、治療目的ではないため、保険適用外で、自費となります。自費のため、医療機関によって若干の金額の違いがあります。

 一方、LEP剤は、月経困難症や子宮内膜症などと診断されたときに、その治療を目的として処方される薬です。LEP剤は、治療目的のため、健康保険が適用されます。

 ただし、保険適用のLEP剤であっても、自費のOCであっても、窓口で支払う金額は大きくは変わらないのが現状です。どちらも月3000円程度が目安です。

 いずれも“排卵を抑える”という作用があり、期待される生理痛の改善、避妊効果などはほぼ同じです。患者さんによっては月経困難症の緩和目的でOCを使いたいと希望する人がいます。

 しかし、もし目的とは異なる使い方で、服薬していた場合、万が一、副作用が起こったときに、医薬品副作用被害救済制度が使えないということがあるので、医師からよく説明を聞き、相談してご自身の目的に合った薬剤を選ぶことが大切です」(甲賀さん)。

 2020年10月現在、日本で認可されている低用量ピルのLEP剤とOCは合わせて、11種類あります。すべて医療用医薬品(医師の処方箋が必要で、薬剤師による調剤によって処方される医薬品)なので、医療機関を受診して、処方され、のみ始めます。

 日本で承認されていない海外の輸入品を服用するのも危険です。婦人科を受診して、医師に相談のうえ、処方された低用量ピルを服用してください。

「日本には2つの種類の低用量ピルがある」
OC(Oral contraceptive)
・経口避妊薬
・避妊を目的とした女性ホルモン剤
・保険適用外

LEP(Low dose estrogen progestin)剤
・月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みの治療を目的に用いる薬剤
・保険適用あり