使い始めのマイナートラブルは3カ月でほぼ治まる

 ところで、「低用量ピルは副作用が心配」という声も聞かれます。副作用には、どんなものがあるのでしょう。

 「選んだ薬をのみ始めてから、マイナートラブルや副作用など体調の変化に気づくことがあります。これは、のみ始めによくあることです。

 よくある症状は、頭痛、だるさ、吐き気、乳房の張り、むくみ、不正出血など。副作用といわれるものは、ほとんどは、このような一時的なマイナートラブルです。

 これらの症状は、低用量ピルによって、エストロゲンやプロゲステロンのバランスが変化したことによって起こるものです。体が薬に慣れてくる3カ月程度で、大部分が治まるので、自己判断で中止せずにのみ続けてください」と甲賀さん。

 万が一、自分には合わないと感じられる場合でも、勝手にやめたり、低用量ピルは合わないと決めつけたりせず、必ず医師に相談してください。

 「重大な副作用には、血の塊が血管に詰まる血栓症があります。命にかかわる副作用ではありますが、低用量ピルによる発生頻度はごくまれ。

 低用量ピルの服用者よりも、妊婦さんや子どもを産んだばかりの女性のほうが血栓症の発症リスクは高いとの報告もあります。

 血栓症リスクの高い病気の既往歴がある人などは処方を受けられず、40歳以上の人、肥満傾向の人、喫煙者なども慎重な判断が必要になります。こうした判断が必要なので、必ず医師の指導のもとで服用してほしいです。

 ピルは副作用が強いというイメージは、約40年前、開発されてすぐのころのピルが、ホルモン量を多く含み、副作用を引き起こすことが多かった時代のものです。

 現在、日本で処方されている低用量ピルは、世界中で長い年月をかけてたくさんの研究がなされてきたもの。含有ホルモンの低用量化、成分・投与法の改良などにより、さまざまな進化を遂げています。その恩恵を現代女性は、受けることができるのです。

 知っていただきたいのは、低用量ピルをのむことで、生理痛軽減や避妊効果以外にもメリットがあることです」(甲賀さん)。

 女性にとってメリットの多い低用量ピル。疑問や不安は、迷わず婦人科医にぶつけてみてください。低用量ピルの使用をきっかけに、医師に自分の健康を相談できるチャンスが増えたと思ってみてはいかがでしょう?

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甲賀かをりさん
東京大学 大学院医学系研究科 産婦人科学講座 准教授
甲賀かをりさん 千葉大学医学部卒、東京大学大学院修了、武蔵野赤十字病院などを経てプリンスヘンリー研究所・イエール大学留学。帰国後、東京大学医学部講師、2014年より現職。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内分泌学会専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医など。

取材・文/増田美加(女性医療ジャーナリスト) 写真/稲垣純也 イラスト/三弓素青 図表/増田真一 構成/黒住紗織(日経BP総研・生理快適プロジェクト

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