婦人科の診察、検査は何をする? 内診は絶対に受けるもの?

 前で紹介したチェックリストで婦人科に行くべき生理の異常があることがわかったとしても、「恥ずかしい…」「検査が痛い?」と婦人科の敷居を高く感じている人もいるはず。でも実際は、婦人科受診のハードルを下げるために、医師たちもさまざまな工夫をしてくれています。

 「初めて婦人科にかかる人には、すぐに検査をするのではなく、まずは問診でその人の悩みや問題点をピックアップすることを大切にしています。そのうえで、症状によって検査の内容を組みます。内診や経腟超音波、血液検査などが主な検査法ですが、性交渉の経験がない人の場合には、腟からではなく、おなかの上からの超音波検査も選べます。

 症状によっては、内診が怖いと思っている人に、最初から実施するようなことはせず、ほかの検査をして様子を見ることもできます。『検査はいや。相談だけしたい』というご希望があるなら、それも可能です。異常な生理かもしれないと思ったら、とにかく一度、婦人科で相談をしてください」と甲賀さん。

 診察料は、初診の場合で超音波などの検査を行って、およそ2000~3000円(健康保険3割負担の場合)といわれています。

 「婦人科を受診して、実際に病気がなかったとしても、その時点で「異常なかった」という記録を残すことが大事です。記録があれば、次に何か異常があったときに、あの時点では異常はなかった。それ以降に起きた異常だ、とわかるからです。

 それに、検査の結果、今は病気がなかったとしても、生理痛がある人は、将来、子宮内膜症になるリスクが高いこともわかってきています。そうした事態に対する心構えのアドバイスを聞いておくことは、助けになると思います。

 そして何より、背後に隠れた病気が見つからなくても、痛み自体が治療対象となることを知っておいて欲しいです。つらい痛みは、病気のあるなしに関わらず、治療で改善できるのです」(甲賀さん)。

背後に病気がない生理痛 どんな方法で治療するの?

 背後に隠れた病気がなくても、つらい生理痛がある(機能性月経困難症)場合は、どんな治療があるのでしょう。

 「漢方薬、鎮痛剤(痛み止め)などで治療することもあります。また、つらい生理痛がある月経困難症と診断がつけば、LEP剤(Low dose estrogen progestin)というホルモン剤を使う選択肢があります。いずれも保険適用の治療です。

 LEP剤は、健康保険3割負担で初診の診察費も含め、月に3000円強です。ジェネリックのLEP剤を選べば、月1000円強で済みます。再診なら診察費が下がるので、もっと安くなります」と甲賀さん。

 LEP剤ではつらい生理痛が改善されるだけでなく、鎮痛剤の費用などを考えたら、経済的にもメリットがあると考えられます。また月経困難症をもつ女性は、子宮内膜症のリスクが2.6倍高まると報告されています。生理痛は放置してはいけないということです。

* Treloar SA et al. Am J Obstet Gynecol 2010

 「もし、検査の結果、子宮内膜症などの器質的疾患がない月経困難症(機能性月経困難症)で、LEP剤による治療を行うならば、服用期間に応じて、1年に1回まで検査期間を延ばすことが可能です。

 LEP剤は、毎月生理を起こすのみ方以外に、長期連続服用し、生理の回数を減らすのみ方があります。たとえば、出血が起きなければ、最長120日間連続服用(「フレキシブル投与」など)ができる方法もあります。

 お薬だけの処方なら、短時間の受診で済みますので、忙しい女性でもずいぶん受診しやすいと思います」(甲賀さん)