生理のときに起きる、頭、おなか、腰などの痛み……。これら、痛みを伴う症状以外にも、生理にまつわる不調があることを知っていますか? たとえば、吐き気、疲労、脱力感、イライラ、憂うつ、下痢…。これらも生理が原因になって起こっている症状かもしれません。このように、生理には痛みだけでなく、さまざまな症状が伴います。これらの不快症状のことを「月経随伴症状」と呼び、実は生理が引き起こしている症状です。つらい生理痛と月経随伴症状を合わせて「月経困難症」といいます。生理痛とともに、月経随伴症状も、月経困難症の治療薬LEP(Low dose estrogen progestin)剤で改善することが期待できます。月経随伴症状のメカニズムとLEP剤の作用について、婦人科医の甲賀かをりさんに伺いました。

1回目 現代女性は昔の女性の約10倍、生理の回数が多い!?
2回目 女性の味方、生理痛の治療薬は避妊薬と同じ成分!
3回目 私の生理は大丈夫?「生理の異常チェックリスト」
4回目 頭痛、脱力感、イライラ…。実は生理が原因かも ←今回はここ
5回目 教えてドクター!生理と低用量ピルの素朴な疑問
6回目 シェリーさんが語る「生理との上手な付き合い方」

生理痛だけじゃない 生理中の不快症状とは?

甲賀かをりさん
甲賀かをりさん
東京大学 大学院医学系研究科 産婦人科学講座 准教授

 生理による不調は、腹痛、腰痛、頭痛などの「痛み」だけだと思っている人が多いのではないでしょうか。でも、生理中に起こる不快症状は、それだけではありません。では、どのような症状があるのでしょうか?

 「生理期間中に、生理にともなって起こる不快症状のことを医学的には「月経随伴症状」と言います。

 下腹部痛、腰痛はもちろんですが、月経随伴症状には、これも生理のせいなの? と思うような、痛みとは違う多岐にわたる症状があるんです」と、東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座准教授の甲賀かをりさん。甲賀さんがまとめてくれた月経随伴症状が下記のリストです。

【生理中に起こるこんな症状は「月経随伴症状」です】
□ 下腹部痛
□ 腰痛
□ 吐き気
□ 頭痛
□ 疲労・脱力感
□ 食欲不振
□ イライラ
□ 下痢
□ 憂うつ

生理期間中に生理にともなって起こる不快症状は、上からこの順番に、女性たちが多く経験している症状です。これらを月経随伴症状と呼びます。
(リストの出典:『産科婦人科用語集・用語解説集』日本産科婦人科学会編)