相性の合う婦人科医の見つけ方

―― 働く若い女性にとって、産婦人科の敷居は高く、マイドクターを見つけるのが難しいという声を聞きます。シェリーさんはどのようにして相性の合う産婦人科医を見つけたのですか?

1カ所で諦めないで。3カ所くらいできっといい医師が見つかる

 実は、今のドクターが4人目です。マイドクターは、自分と相性の合う医師がいちばんだと思います。なんでも相談できて、質問しやすくて、しっかり答えてくれる産婦人科医。この人だ、と思える先生に会えるまで、いくつかのクリニックに行ってみてほしいんです。しっかり話をきいてくれない人なら我慢しないでクリニックを変えていいと思います。

 これは私の経験ですが、引っ越して以前の産婦人科に通えなくなったので、当時働いていた場所の近くにあった婦人科に行ってみたんです。

 低用量ピル**を処方してもらいたくて行ったのに、内診が終わったあと、「子宮内膜症だね」って、いきなりパンフレットを渡されて、「こういう病気だから治療をしないと、子どもができないよ」と言われました。

 まだ22歳だった私にとっては、大きなショックでした。「えー、子宮内膜症? 子どもができない? どうしよう…」と取り乱して泣きながら、母に電話しました。

 そのとき母に「セカンドオピニオンに行きなさい」と言われて、産婦人科をホームページでいろいろ探して、別の産婦人科を受診したんです。

 するとその産婦人科医は、「あなたは、月経痛への対処として子宮内膜症のためにもできることをやっていますよ。子どもが欲しいと思ったときに低用量ピルをやめて、子宮内膜症の状態を診ていけばいいから安心して」と言われました。

 その医師のおかげで、安心して低用量ピルをのみ続けようという気持ちが強くなったんです。

 だから、読者の皆さんには婦人科に1回行っただけで、こんなものだと諦めないでほしいと思います。内診台にカーテンがあったり、なかったり、クリニックの雰囲気づくりや、スタッフの方のコミュニケーションの取り方もさまざまです。3カ所くらい行ってみると、様子もだいたいわかって、自分に合う医師が見つかるのではないかしら。

 パーソナルでデリケートな問題を相談することが多いだけに、産婦人科ほど医師との相性が重要な診療科ってないと思います。

 産婦人科だけはずっと通い続けられる、心を開いて話せる医師を見つけたい。聞きたかったのに、話しづらくて、何も聞けずに帰ってきたということがない医師を選びたいですね。

「あのまま痛みを我慢し続けていたら、この子たちにも会えなかったかも」と語るシェリーさん。2人の女の子が成長して初潮を迎えたら、婦人科に一緒に行くのが楽しみという
「あのまま痛みを我慢し続けていたら、この子たちにも会えなかったかも」と語るシェリーさん。2人の女の子が成長して初潮を迎えたら、婦人科に一緒に行くのが楽しみという

―― 働いている女性たちに、生理との向き合い方のアドバイスをお願いします。

生理のこと、低用量ピル**のこと、もっと情報交換できるといい

 生理は自然のものだから、低用量ピルなどで「人工的に生理周期を変えるのはよくない」「生理を止めるってどうなの」と思っている人も少なくないと思います。

 私、女性の体のこと、生理のことを知りたくて、いろいろ調べてみたのですが、昔の女性にくらべて、現代女性は生理回数が約9倍も多くて、その状態は女性の体にとって、ものすごい負担なのだそうです(1回目)。

 低用量ピルで排卵を止めることで、卵巣を休ませることができます。それは将来の妊娠、出産にとってメリットになることも知りました。

 そして、赤ちゃんが欲しくなったら、低用量ピルを中止すれば、妊娠は可能ですものね。

 私の場合は、生理痛が強く、子宮内膜症になっている可能性もありました。子宮内膜症は不妊にもつながると聞きました。だとしたら、あのまま痛みを放置していたら、子どもたちに会えなかったかもしれない、とさえ思うことがあります。

 それに、低用量ピルで生理の悩みを減らせば、生理に振り回されずに、自分のやりたいことに集中できるようになりますよね。だから、友人にも、生理痛がつらい、子宮頸がん検診を受けていないと聞けば「婦人科に行かなきゃだめだよ」と、“マイドクター”を紹介したりしています。

 生理のことを、もっと誰とでも話せるような環境になるといいですよね。低用量ピルのことももっと普通に情報交換できるといい。男性にも生理のことを普通に話せたら、男性の理解も進むはずでは、と思います。

 私は、将来、初潮を迎えた娘と一緒に婦人科に行くのが楽しみ。娘に、医師から生理との向き合い方を教えてもらって、私に言いづらいセックスのことは医師と話せる関係性をつくってほしい。

 娘たちが成長したら、「産婦人科に行くのは女性として当たり前のこと、怖くないよ」と話したい。自分らしく健やかに生きるための知恵をつけてあげたいと思っています(談)。

参加者募集 快適生理マネジメント術 オンラインセミナー
2021年1月22日(金) 19時~
SHELLYさんと婦人科医・甲賀かをりさんによる「生理」トーク

この連載に登場している婦人科医の甲賀かをりさんと、2児の母でタレントのSHELLYさんが、働く女性の生理の悩みとその対処法について語り合うトークセミナーを開催します。生理は出産のためには必要なしくみ。でも、女性の半数は痛みなどで悩んでいます。どうして痛くなるの? 放置してもいいの? 楽にする方法はないの?――。セミナーでは、生理痛に悩んだ末に、いい対処法に出会ったSHELLYさんの体験とともに、生理に関する様々な疑問を専門医の甲賀さんから解説していただきます。

生理の悩みから解放されたら、女性はもっと働きやすくなる、暮らしやすくなる。働く女性が上手に生理をマネジメントする方法を、一緒に考えてみませんか。

<概要>
●SHELLYさんと産婦人科医・甲賀かをりさんが語る 快適生理マネジメント術
 「生理の悩みを解決して、仕事も私生活もパワーアップ!」
●2021年1月22日金曜 19時スタート 20時15分終了
●費用 無料
●募集人数 300人
●参加ご希望の方はこちらに登録ください。
PP-PF-WHC-JP-0105-12-12

取材・文/増田美加(女性医療ジャーナリスト) 構成/黒住紗織(日経BP総研 生理快適プロジェクト)

生理快適プロジェクトとは?
毎月の生理がつらい人。それは仕方ないとあきらめていませんか? つらい生理は放置しないできちんと対処すれば、いまよりもっと心も体も快適になって仕事の生産性も上がります! そう。女性が、自分の体と生理のことをきちんと知ることが「女性の働き方改革」の出発点。生理快適プロジェクトは、つらい生理で悩む女性を減らすために、正しい情報を届ける活動をしています。

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