女性の体や生理への理解促進と働きやすい社会の実現を目指す『女性のための働き方改革! 「生理快適プロジェクト」』(協賛/あすか製薬、バイエル薬品、富士製薬工業)は10月7日に、オンラインセミナーを開催しました。産婦人科医の高尾美穂さんとバービーさんが、働く女性の生理の悩みや対策について語り合った中から、トピックをお伝えします。
1回目 SHELLYさん×甲賀先生 生理痛の上手なマネジメント法
2回目 薬を使わず生理痛を軽くするには?14の質問に回答
3回目 サッカー選手、川澄奈穂美さんが語る生理のこと
4回目 10代の娘が生理で困ったら、親としてどうする?
5回目 読者が婦人科医と生理痛をぶっちゃけトーク!
6回目 生理の影響は年60日! 生理痛を治療して前向きに
7回目 スプツニ子!×種部恭子先生 生理の悩みと解消法
8回目 バービー×高尾美穂先生トークセミナー ←今回はここ

ひどい生理痛は病気のサイン!? 「早い対処」でその後の人生が変わる!

 第1部は、産婦人科医の高尾美穂さんが、生理から来る体調不良に関する最新情報やケア法について解説してくれました。


 生理に関する悩みがある人は74%もいるという調査があります*1。その中身を見ると、いつ生理になるか不安、生理痛を緩和したい、経血量を減少させたい、PMS(月経前症候群)や妊娠の可能性に悩むなどで、悩みを相談しにくい現状にあることもわかりました。このような悩みは、正常な生理を知ることでかなり軽減できると思うのです。女性ホルモンのダイナミックな変化やエストロゲンとプロゲステロンの仕組みなどはぜひ知っていただきたいです。

*1 J Med Econ 2013; 16(11): 1255-1266

 日経BP総研の調査の結果では、生理の不快な症状で仕事に影響を受ける日数は、生理前と生理中を合わせて、1カ月あたり平均4.85日。1年間に換算すると約60日にもなります*2。でも、困っているのに「仕方がない」「我慢するのが当たり前」とあきらめている人が多いというのが現実です。

*2 日経BP総合研究所 生理快適プロジェクト 働く女性2000人調査2021年

 このデータからも、生理痛やPMSは、女性が対策すべき課題だと思います。何もしないで放置していると、日常生活に支障が出て、仕事や学業のパフォーマンスだって落ちる。さらに、つらい生理は病気のサインであることも多いのです。生理痛や過多月経の原因が、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気であることが少なくありません。子宮内膜症が進むと妊娠しにくくなったり、生活習慣病のリスクが上がったりすることがあります。

生理の不調を改善する方法はいくつもある

 では、生理の不調はどのように対策をするのが効果的なのでしょう?

 体を温める、栄養バランスのいい食事をとる、運動をするなど日常生活の改善はベースとして必要です。さらに、鎮痛剤、漢方薬、低用量ピルなどを上手に使って治療することを考えてほしい。つらい生理を改善する方法は、いくつもあるのです。お薬による治療でQOL(生活の質)が上がれば、やりたいことのために効率よく時間を使うことができます。

 低用量ピルは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが1錠に含まれている薬です。もともと避妊目的に作られた低用量ピルですが、月経痛の緩和効果があることがわかり、今では治療のためにも処方されているものがあります。低用量ピルには、排卵を抑制して経口避妊薬として使われるOC(Oral contraceptives)と、月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛改善のために使われるLEP(Low dose estrogen progestin)の2つのタイプがあります。

 ある調査*3で、生理痛や生理前の不調の重症度を聞いたところ、「非常に強い(困っている)」と答えた人で、仕事や家事、学業を休んだり、作業効率が低下した人は42%もいました。それなのに、婦人科を受診している人は、35%しかいませんでした。すごく困っているのに、婦人科を受診せず、自分で何とかしようとしている人が多いわけです。

*3 J Med Econ 2013; 16(11): 1255-1266 (図は高尾さん提供資料を参考に作成)
*3 J Med Econ 2013; 16(11): 1255-1266 (図は高尾さん提供資料を参考に作成)

 でも今は、自分のコンディションは自分で把握して、コントロールする時代。つらい不調があると思ったら、婦人科を受診してください。婦人科医は女性の味方です! そして、不調は治療すれば、女性たちの大きなメリットにつながります。ですから、“つらい”を我慢せず、ラクに楽しく生きることを選択していってほしいです(談)。