北海道砂川市にある個人書店「いわた書店」の店主、岩田徹さん。選書サービスの「一万円選書」が話題になっている。多数の著書を出版し、「本好き」を公言している、ジャーナリストの池上彰さんのお二人に本屋さんの巡り方や本の選び方を聞きました。

前編 池上彰×いわた書店岩田徹 読みたい本の探し方&読書法 ←今回はここ
後編  池上彰×いわた書店店主 おすすめ本&人生を変えた一冊

3000人待ちの「一万円選書」

編集部(以下、――) いわた書店の一万円選書は岩田さんが作った「特製カルテ」に記入し、それを元に自分に合った1万円分の本を送ってもらうというサービスですね。今、大人気で3000人待ちだと聞きました。

池上彰さん(以下、池上) 面白い取り組みですよね。小さな書店であっても、こういう発想をすると全国レベルで本が売れるんだなと思いました。本当に読んでもらいたい本を売るといった原点に戻ったお仕事をしていると思います。

本選びで疲れて帰ってしまう

岩田徹さん(以下、岩田) 今、売れている本を「どうぞ」と店頭に置いてもお客さんはどれが自分に合うのか分からなくて、疲れて帰ってしまう。それがある日、高校時代の先輩に「岩田、俺に適当な本を選んで送ってくれよ」と1万円を手渡されたのが、一万円選書の始まりなんです。

池上 例えば、居酒屋に行ったときにメニューがいっぱいあって、「どうしようかな」という時に「今日の店主のおすすめ」みたいなのがあるといいですよね。あるいは「今日何がいいの?」って言うと「新鮮な魚が入っていますよ。今日は生きがいいですよ」って言われたら「じゃあそれにしよう」ってなります、まさにそれですね。

―― 何を選べばいいのか分からないという読者のニーズをとらえたんですね。このサービスはどうやって広がっていったのですか?