10~20年前の作品がジーンとくる

ジェーン・スー 約20年前の映画ですが、10~20年前の米国のラブコメ映画のほうが、日本のアラサー・アラフォー女性にはグッとくるかもしれません。2020年代の米国のラブコメ映画は今の10~20代ぐらいの女子たちの価値観に合わせて作られていることが多く、ちょっとピンとこないかもしれません。

 この作品はメグ・ライアンがとにかく忙しいんですよ。忙しいところに本当に都合のいい王子様がやってくる。あまりに荒唐無稽で、最後の終わり方も爆笑なんですよ。日常の嫌なことは忘れさせてくれますね。男女平等が叫ばれている世の中ですが、自分の中に「王子様願望」が名残としてあることを思い知らされて身につまされる人もいるかも

「見たくもない尾てい骨を見るような作品です(笑)」(ジェーン・スーさん)
「見たくもない尾てい骨を見るような作品です(笑)」(ジェーン・スーさん)

ジェーン・スー マンハッタンという超都会で説得力のあるロケーションも魅力の一つです。見ているだけで、都会で働く女みたいな気分にさせてくれるんです。

―― 物語だけではなく、映像も楽しむことができますね。

「いい人なんだけど、将来性がない」

高橋 個人的におすすめしたいのは『セレステ∞ジェシー』ですね。「セレステとジェシーは理想的な夫婦。だが、会社の経営者として充実した日々を送る妻セレステに対し、夫ジェシーは売れないアーティスト。ジェシーとの未来に不安を感じ始めたセレステは、『最高に気の合うジェシーとは永遠に親友でいたい』と提案してふたりは離婚に向けて別居をすることに。しかし、あるできごとをきっかけにセレステはジェシーの大切さに気付く」というお話。

ジェーン・スー 仲の良い夫婦なのですが、妻にとっては夫が頼りないんですよね。夢を追いかけていて現実と向き合えていないと言いますか。ただ、困難に直面していない時はこんなに気の合う人はいないと思える。アラサー女子がよく話す「いい人なんだけど、将来性がない」と似ているのかな。私はこの発言を聞くたびに「自分の将来性を棚に上げて、何を勝手なことを言っているんだ!」と思っちゃうけど(笑)。