ラブコメ好きを公言している、コラムニストのジェーン・スーさんと音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんは「働く女性こそラブコメを見るべきだ」と言います。それは一体なぜなのでしょう。そして、数あるラブコメの中から、厳選した5つの作品について語っていただきました。

前編 ジェーン・スー×高橋芳朗 キャリア女性にはラブコメを! ←今回はここ
後編 ジェーン・スー 「好きなことを続けていれば形になる」

編集部(以下、――) お2人はこれまで多くのラブコメ映画を鑑賞されたと伺っています。なぜ、ラブコメがそこまでひきつけるのでしょう。

ジェーン・スーさん(以下、ジェーン・スー) 新しい出会いなんて、今このご時世でなかなかないですよね。だから、ラブコメ作品で誰かの恋を見て、自分を耕すんです。まずはそれでいい。自分の好きな1本を見つけて、それがきっかけで、新しい何かを始めようと思えるかもしれない。そうしたら、新しい出会いもあるかもしれないですよね。

―― 恋愛のリハビリになる、ということでしょうか。

ジェーン・スー 人の恋を見て、勉強ですね(笑)。働いて疲れているときに、気軽に楽しめるラブコメ作品を見れば元気になれる。『プラダを着た悪魔』『ラブ・アクチュアリー』といった名作は胸に響くものがいつ見てもありますし、単純に「服がかわいい」「音楽がいい」そういうことでノリノリにもなれますよね。

自分を知ることができる

ジェーン・スー 趣味が無い人はラブコメ映画をたくさん見て、感想をノートにつづっていけば、それが趣味になるかもしれません。同じジャンルの作品を集中的にみることによって、自分の心がなにに動かされるのか気付けるんです。自分自身を知るためにラブコメ映画は使えます。「私はこういうのが好き」と言えるようにもなるんです。

高橋芳朗さん(以下、高橋) ラブコメはその時代時代の風俗を理解するのにもってこいですよね。基本的に生活レベルのお話だから、世相がダイレクトに反映されている。

ジェーン・スー 作品が作られた年代によって男女間の関係性が全然違うところも注目です。すごく勉強になりますよ。今の10~20代といった若い世代の価値観がよく分からないという人は、何本か新しい作品を浴びるとよいですね。

高橋 肩肘はらずに楽しめるのも魅力ですね。敷居が低くて、それでいて「明日も頑張ってみるか!」と思える活力がもらえるんだから最高です。

ジェーン・スー 本当にそう思います。私と高橋さんは働く真面目な女性のみなさまにラブコメ映画を見ることをおすすめします。肩の力が抜けていくはずです。

「働く真面目な女性のみなさまにラブコメ映画を見ることをおすすめします」と話すジェーン・スーさんと高橋芳朗さん
「働く真面目な女性のみなさまにラブコメ映画を見ることをおすすめします」と話すジェーン・スーさんと高橋芳朗さん

―― では、早速おすすめの作品を教えてください。

ジェーン・スー まずは『恋とニュースのつくり方』ですね。

高橋 あらすじを紹介しますね。「勤務先から突然解雇を言い渡されてしまったテレビプロデューサーのベッキー。すぐにニューヨークのテレビ局から声がかかるものの、まかされたのは超低視聴率番組だった。彼女は番組を立て直すために伝説の報道キャスター、マイクをメインに起用するも彼はわがまま放題で事態はなかなか好転しない。果たしてベッキーの努力は報われるのか?」