先の見えない新型コロナウイルス禍で忙しく働きストレスフルな毎日。そんな中でも、ストレスをはねのけ、明日への活力をもたらしてくれたエンタメ作品を著名人に聞くリレー連載。今回は、芸人の劇団ひとりさんに登場してもらいました。劇団ひとりさんが小説や映画、ドラマなどの、「物語」を好きになったのは、米国・アラスカに住んでいた小学生時代に映画館へ足しげく通っていた原体験からだといいます。後編では劇団ひとりさんの物語づくりに影響を与えた作品について話を聞きました。
前編 劇団ひとり スパイ作品に没頭 ながら見がしっくりくる
後編 劇団ひとり 運命の一冊『浅草キッド』使命感で映画化 ←今回はここ
6回見たトップガン
編集部(以下、――) 劇団ひとりさんが物語を見たり、考えたりすることが好きになったきっかけは何だったのでしょうか。
劇団ひとりさん(以下、劇団) アラスカに住んでいたときに経験した出来事が大きいですね。父が国際線のパイロットで母が客室乗務員だったこともあって、親の仕事の関係で、小学2年生から5年生までの3年間、アラスカに住んでいました。田舎のほうだったので子どもが楽しめるような娯楽はまったくなくて、遊びに行く場所は近所の映画館しかありませんでした。
親が仕事で忙しかったので、お小遣いを片手に、毎週末兄と映画館へ通っていました。毎週行くから、何回も同じ映画を見るんですよ。米海軍のエリートパイロット養成校を舞台とするアクション映画『トップガン』は6回くらい見ましたね。そのおかげで、いつの間にか映画が大好きになっていました。