小学生のときに衝撃を受けた映画

世古口 小学生のときに見た『ALWAYS 三丁目の夕日』です。昭和33年(1958年)の東京の下町を舞台とし、そこに暮らす人々の温かな交流を描いた作品ですが、テレビでの放送をたまたま家族で見ていて、涙がでてきました。映画を見て泣いたのはこの作品が初めてです。自分が知らない、両親よりも上の世代の世界観を表現していて、「こんなことができるのは映画の世界だけだ」と衝撃を受けました。続編が映画館で始まるという宣伝も兼ねていたので、続編を映画館へ見に行って、ドはまりしました。

 小学生なのに一人で同じ映画を映画館で4回ぐらい見ました(笑)。初めて映画のパンフレットを購入し、主題歌のCDもお小遣いで買ったんです。この時から、映画の世界にすごく興味を持ち、たくさん映画を見るようになりました。他には「僕たちは世界を変えることができない」という向井理さんが主演で、普通の医大生たちがカンボジアに小学校を建てるまでの奮闘記が描かれた映画も自分の視野を広くしてくれました

―― 出演している俳優さんに憧れたのですか?

世古口 俳優さんももちろんかっこいいですが、作品にとにかく惹かれました。「何でこんな作品がつくれるんだろう」と作品づくりにも興味が湧きました

「現実がつまらないから逃げ出したい」

世古口 現実がつまらないから、そういう世界に逃げ出したいなという気持ちもあったと思います。僕、ひねくれていたんですよ(笑)。小学生のころ、学校に行く理由が分からなくて、ランドセルを5回ほど捨てました(笑)。学校に行かないで、地区センターに行って一人で漫画を読んでいたこともありました。

「現実がつまらないので、映画の世界に逃げ出したいという気持ちもありました」
「現実がつまらないので、映画の世界に逃げ出したいという気持ちもありました」