「その夢は大きいとは言えない」

「‘If your dreams don't scare you, they're not big enough.’ (自分の夢に自分自身が恐れを感じないのなら、それは大きな夢とはいえない)という言葉をよく思い出します」とジュリーCEO。
「‘If your dreams don't scare you, they're not big enough.’ (自分の夢に自分自身が恐れを感じないのなら、それは大きな夢とはいえない)という言葉をよく思い出します」とジュリーCEO。

 2つ目は、父のことです。父親は大学には行かず、ホンダのディーラーで働いていました。私が大学に進学したとき、父はこんなことを言いました。「おまえはこれから、家庭ではできなかった色々な経験をするんだ」、そして、こうも言いました。「怖がってはいけない。新しいものをしっかりと受け止めなさい。しかし、自分の原点を忘れてはいけないよ」と。

 今は、 デジタル化による創造的破壊(デジタル・ディスラプション) やAI(人工知能)などがもたらす変化に対して不安を覚える人々が世の中にいます。しかし私は、そうしたときに父からのアドバイスを思い出すのです。我々は新しいものに対応しなければなりませんし、成功するために新しいことをしなければならないのです。

 そのためにアクセンチュアでは毎年10億ドルかけて、社員のトレーニングに投資をしています。そしてお客様と一緒になって新しい技術を導入する際には、人々や地域にどのようなインパクトをもたらすのかを絶えず意識しています。そうやって前進する中でも、私はよく父の言葉を思い出すのです。

 3つ目は、私には11歳、13歳の2人の娘がいます。夫は、伝統的な金言が書かれたボードが好きで、自宅に3つも飾っているのですが、そのうちの一つのボードには、「‘If your dreams don't scare you, they're not big enough.’ 自分の夢に自分自身が恐れを感じないのなら、それは大きな夢とはいえない」と書いてあります。私はその言葉も、よく思い出します。

 デジタル・ディスラプションの結果、「フォーチュン500社」の企業の半分は消えていく時代です。そんな中、リーダーは大きな夢を持ち、取り組まなければならないのです。

 私は、若い人からキャリアについて相談された際には、自己満足してはいけない、自分に対して常に挑戦を投げかけることが大切だ、と伝えています。

次世代の成長モデルはジェンダー平等から

カサーティ さて、アクセンチュアという組織は、現在うまくいっているからこそ変革が必要であるとのことですが、次世代の成長モデルについてどう考えていますか?

スウィートCEO 50年の会社の歴史の中で、成功の方程式というものは常に同じです。まず、とにかくクライアントと社員にフォーカスすること。次に、妥協してはいけない、現状に甘んじてはいけない。つまり、変わる勇気を持つことです。

 直近5年を見ても、アクセンチュアはビジネスを変革してきています。例えば、デジタル・クラウド・セキュリティに関連したビジネスが売上に占める比率は、現在においては65%にまで及んでいます。事業の中核そのものが新しくなってきている、そして株主もその変化を認め、株価も上昇しています。

 また、ジェンダーダイバーシティの実現を重視し、2025年までにアクセンチュア全社員数の男女比を50対50とすることも発表しています。今は44%まで来ています。

アクセンチュア日本法人の江川昌史社長は、14年比で女性社員数を4.6倍にも伸ばし、ジェンダー平等を重要な経営戦略の一つとして実行してきた
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