これから先は「Shared success」
我々の成長モデルは、2014年に既に1回大きく変わっています。同年、プロフェッショナルサービスの企業として初めて、アクセンチュアはデジタル部門を立ち上げました。当時は「すべての事業はデジタルに通じる」などと発言すると物議をかもしたものですが、クライアントを見れば、次の流れがどうなるのかは分かっていたのです。
先ほど、市場は転換期に来ていると申しましたが、デジタルというのはテクノロジーだけではありません。それは働き方であり、意思決定であり、どのようにお客様と繋がるのかということも含みます。「Digital is everywhere」、つまりはデジタルというのは本当に全ての場所になくてはいけないもので、クライアントに提供するものの中核がデジタルなのです。
ですから現在私たちが直面しているビジネスの変化というのは、サービスの展開の中で「Digital is everywhere」を、どのように行うかなのです。
スウィートCEO そしてこれから先は「Shared success」(成功を共有する)を考えなければいけないと思っています。企業として成功するためには継続的なイノベーションが必要ですが、社内だけ取り組んでいても、本当のイノベーションは起こすことができません。イノベーションはパートナーと一緒に取り組んでこそ、達成できるものです。
さきほど述べた「Digital is everywhere」、これは成功を共有するための社風であり働き方でもあります。またその結果としてローカルからグローバルへ、イノベーションをより早く展開することも可能になってくるはずです。
ジュリーCEOの強みを一言でいうと?
(質疑応答)
日経xwoman総編集長・羽生祥子 お話をありがとうございました。「アクセンチュア史上初の女性CEO」と鮮烈な言葉がリリースに載っていましたね。しかしジュリーさんは実際にお会いすると非常にたおやかな女性で驚きました。もっと“マッチョ”な女性かと……。プロフィールや実績から敏腕ビジネスパーソンだということはよく伝わりますが、並み居る男性を抜きん出てグローバルのトップに就任したことに対する自己評価を聞きたいです。ご自身の強みを一言でいうと?
(登壇者、会場、笑う)
スウィートCEO ご質問ありがとうございます。私はリーダーとして2つ大切なことがあると思っています。1つ目は謙虚であることです。より優れたチームがあってより強くなると信じることができること、自分自身がすべての回答をもっているわけではなく、他の人から学ばなければならないといった気持ちです。優れた部下を持つということは、自分もどんどん勉強する、その姿勢が大事なのです。
部下に対するアドボカシー(擁護や支持)を保つ
私がアクセンチュアのCEOに着任した1日目に、約50万人の従業員に対して ビデオメッセージを送りました 。その中で「四半期ごとに、この四半期はこれを絶対に学ばなければならないという自分のテーマを決めて勉強をしている」と話しました。アクセンチュアには、空いた時間にいつでもオンラインで学ぶことができる「ラーニング・ボード」というシステムがあり、3800ものコンテンツがあります。その中にはCEO用のプログラムもあります 。身をもって示す、やってみせることが重要です。
2つ目は、自分の部下に対するアドボカシー(擁護や支持)の姿勢を持ちなさいということです。変化を受け入れ、新しい働き方を受け入れ、そしてどうやって成功できるかを伝えていかなければなりません。
リーダーとして成功するのは、例えば、アクセンチュアのほかのリーダーのように、部下を応援できる人、部下が時代に合わせて変わることができるように手伝ってあげられるような人物なのです。
※ジェンダー平等経営、アクセンチュアが成功できた秘策(下)に続く
取材・インタビュー/日経xwoman総編集長・羽生祥子 文/阿部祐子 写真/小野さやか