アフリカをはじめとした世界の少数民族を独自の感性で撮影し、注目を集めるフォトグラファーのヨシダナギさん。2020年5月25日、「ドラァグクイーン」をテーマとした新しい作品集を発表する。これまでとは異なる被写体に、なぜ挑んだのか。「カッコいい『彼女たち』は私のヒーロー」――そう語るヨシダさんに、作品に込めた思いを聞いた。

(上) ドラァグクイーンの美しさ 撮って学んだ生きるヒント
(下) 家に閉じこもっていた私が、アフリカに飛び込むまで ←今回はここ

日経doors編集部(以後、――) ヨシダさんはアフリカの少数民族を撮影する際、その民族の衣装をまとうなどして現地のコミュニティーの中に飛び込んでいくスタイルがメディアでも注目を集めました。ご自身にとっての「ヒーロー」であるという被写体と、ご自身との間に共通点はあると感じますか。

ヨシダさん(以後、ヨシダ) その撮影スタイルが話題になった影響もあって、私はとても明るくて外に向かって開かれた人間だと勘違いされがちなのですが、全くそんなことはないんです。むしろ、コンプレックスだらけ。だから、自分の「立ち姿」には自信が持てません。というわけで、共通点はほぼないですね(笑)。

 私自身が強く憧れているのに手にできないものを、持ち合わせている人たちだからこそ、撮りたくなるのだと思います。

 撮影では、『美少女戦士セーラームーン』や『仮面ライダー』など、「ヒーローもの」の構図を意識しています。そういうヒーローに対して多くの皆さんが抱く気持ちと、私がアフリカの人たちに対して抱いている気持ちは同じなのだと伝えたいんです。

写真はヨシダさん提供
写真はヨシダさん提供