新型コロナウイルス感染拡大により、あらゆる業界に甚大な打撃を与えている。化粧品業界もその1つ。高級ブランドのSK-IIも近年中国などの市場で成長を続けてきたが、その影響は少なくないという。SK-II グローバル CEOのサンディープ・セス氏にコロナ禍での企業のあり方や今後の展望について聞いた。

競泳・池江選手とパートナーシップを結ぶ

 今回の新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態によって、SK-IIブランドは非常に大きな影響を受けています。そこで社会に対して責任あるブランドを目指し、今の状況をどう乗り越えていくかを必死に考えています。

 今、考えているのがコロナ禍を乗り越えるまでの3つのステップです。1つ目は「React(リアクト)」。まずこの危機にどう反応していくかということです。最も優先したのはお客様と世界中にいる約5000人のビューティ・インフルエンサー(美容部員)を始めとした従業員の安全を守ることです。

 そして2つ目は「Respond(レスポンド)」。この危機にどう向き合い、社会貢献すべきかと考えました。中国では医療機器の備品などを寄付する取り組みを実施しました。日本では競泳の池江璃花子選手とパートナーシップ契約を結び、困難な状況でもあきらめないことの大切さを伝えました。池江さんは東京オリンピックの有力候補とされていましたが、2019年に白血病を発症。1年以上に渡って闘病生活を送りました。

 SK-IIは「運命を、変えよう。~#changedestiny」というブランドテーマのもと、運命はチャンスや偶然によるものではなく、自分の選択によって決められるものだと考えています。池江さんは、芯の強さ、自分自身に正直であること、そしてどんなに困難なことがあってもあきらめないことの意味を私たちに教えてくれました。池江さんをサポートすることで多くの人に運命は自分の力で変えられるということを知ってほしいし、希望を持ってほしいと考えています。

SK-IIは競泳の池江璃花子選手とパートナーシップ契約を締結。どんなことがあってもあきらめないことの意味を伝えていくという
SK-IIは競泳の池江璃花子選手とパートナーシップ契約を締結。どんなことがあってもあきらめないことの意味を伝えていくという