夫との出会い

 「デザインの仕事とメディアの仕事、どちらも好きでどちらかを選べていない中でアートディレクターの池澤樹さんに会いました。夫はデザイン一筋の人生を過ごしてきて、一貫しているので、作品レベルも高くデザインやアイデアで人を惹きつける力を感じました。私はいろいろなことを選ばず挑戦しながら、人とのつながりの中で、自分らしい表現の答えを探していた。自分の人生には満足しているはずだったのですが、夫と出会って、デザインをもっと追求したい、学びたいと強く思ったんです」

 そこで池澤さんとともに、デザインの会社を立ち上げ、それと同時に自分の作品作りをスタートさせることにした。「社名は『STUDEO』と主人が名付けました。ラテン語で学ぶという意味があります。常に学んでいく会社にしたいという意味を込めました」

背中を押した母の一言

 こうした篠原さんのチャレンジは池澤さんだけでなく、母の一言も篠原さんの背中を押してくれたという。

 「主人と会社を立ち上げてデザインの仕事に向き合いたいと両親に相談しました。すると母は『あなたたちを育てたこととお父さんのそばにいて一緒に働けたことが人生で一番楽しかった』と教えてくれたんです。

 私の実家はおすし屋さんで、共働きでした。夫婦でいろんなことを乗り越えていく姿を間近で見ていました。だから、さみしい思いをすることもなかったし、自分がかまってほしいということもなかったです。母と娘の関係ではなく、女性として同じ目線でアドバイスをしてくれた気がしました。その言葉を聞いたときにやっていけると思いました。不安な時は両親に相談したり、分からないことはプロに聞いたり、尋ねて感じることを丁寧にやっていくと少しずつ答えの扉がひらいてくると思いました」

 とはいえ、この挑戦は簡単な道のりではなかったという。

会社の立ち上げが「人生の転機」と振り返る篠原さん
会社の立ち上げが「人生の転機」と振り返る篠原さん