大人はもう麻痺しているかも

―― グレタさんは16歳です。山本さんも20代前半。10代や20代など、若い世代がアクティビストになりやすいのでしょうか。

山本 そうですね。アクティビストになるにはリスクが高いということと関係していると思います。

 アクティビストになると、私たちの活動を「良く思わない人」や、「自分たちのビジネスや事業の害になると考える人」などが出てきて、たくさんの「嫌がらせ」をされます。また、アクティビストは「失うもの」が大きく、人を傷つけてしまうこともあります。出る杭(くい)は打たれる社会で、声を上げること、「おかしい」と言うことは、「仕事」や「家族」、「将来」にも影響を及ぼします。

「日本社会の中で何十年も『おかしい』ことに毎日向き合っていると、それが『おかしい』と思う気持ちすら、薄れてしまう」
「日本社会の中で何十年も『おかしい』ことに毎日向き合っていると、それが『おかしい』と思う気持ちすら、薄れてしまう」

 それにアクティビズムは多くの時間を費やすこともなります。ストライキや大規模なデモなどのアクティビズムは時間がかかります。だからこそ、しがらみがなく、失うものが比較的少なく、時間にも余裕がある若い世代の方が、声をあげやすいのではないかと思います。

 そして一番大きな要因は、若い世代は「麻痺(まひ)」していないということだと思います。もう、日本社会の中で何十年も「おかしい」ことに毎日向き合っていると、それが「おかしい」と思う気持ちすら薄れてしまう。ですが、若い世代はSNSを通して、常に国内外、世界の反対側からも情報を得ることができ、意見交換もできます。

 もちろんSNSでの情報はすべてが正しい訳ではないですが、インターネットの「ネーティブ世代」として、感覚が常に敏感であるからこそ、「おかしい」という気持ちが強いのではないのかな、とも思います。