「明るさ」は強さの証し

 炭治郎と禰豆子、そして同輩の善逸(ぜんいつ)、伊之助(いのすけ)は、敵の鬼が潜む列車の中で、煉獄と合流することになる。炭治郎たちはもちろんのこと、映画の観客にも強いインパクトを与えるであろう煉獄の特徴の一つが、大きな声、そして常に笑みを浮かべていることだ。とにかく明るく、元気がよい。

 「うまい!」と列車の客室中に響きわたる声で感心しながら弁当を食べたり、追い詰められた場面で「よもやよもやだ!」と余裕を感じさせるたたずまいを見せたり。それらはキャラクターを象徴するシーンとして映画の予告編にも挿入され、ファンの間で話題になった。

 「平時のコミカルな描写もムードメーカー的で面白いですが、見ているほうも足がすくむような危機が迫る場面で、明るさを失わないのが素晴らしいです」と岩橋さん。「大きな問題に対処しなければならない局面で、眉間にしわを寄せて不満ばかり言ったり、自分自身がパニックに陥って周囲に当たり散らしたりしてしまう上司は残念ですよね。それは、自信のなさや不安の裏返しです。煉獄は、『柱』として場数を踏んできただけあって、悲観的になっても意味がないと知っているように見えます。常に『今、できることは何か』を探せるのはリーダーとして重要な資質ですね」

 ここで岩橋さんがいう「ポジティブさ」とは、物事の悪い側面を見ようとしないという意味ではない。鬼殺隊が目指すのは、人々を脅かす鬼を倒すことだ。果たすべき役割を自覚し、それをやり抜く覚悟を決めてこそ、困難な状況でも「どうすれば打開できるか」という前向きな視点が生まれてくる。大切なのは、「できる」と信じ続けられる強さなのだ。