実力者だが「俺自慢」はしない

 テレビアニメでは、入隊して間もない炭治郎たちが、剣士としての力をつけるために大変な修行へ身を投じる場面も描かれた。「柱」の一人として活躍する煉獄は実力者だが、そこに至るまでに数々の苦難を乗り越え、人並み以上の努力を重ねてきたことは想像に難くない。

 だが、「俺はこんなに苦労してきたのだ」などと自慢話を始めることがないのも、煉獄の上司としてのカッコよさだと岩橋さんは語る。

 「得意なことや苦手なことは、人それぞれです。世代が違えば、置かれている環境も異なります。それなのに『評価されたいなら、俺と同じようにしろ』と押し付けるような態度で後輩に接する上司は、現代のリーダーとして優れているとはいえません。その点、煉獄は、一人ひとりの部下をしっかりと見て、状況に合った助言を授けようとします」(岩橋さん)

 そもそも、煉獄と炭治郎たちが本格的に「仕事」を共にするのは、劇場版で描かれる無限列車でのエピソードが初めてだ。煉獄が、ほんの短時間で後輩との信頼関係を築くことができる理由は、その実力だけではない。後輩が未熟なのは当然であり、だからといって「自分より価値が低い存在」とみることはしないこと。一人ひとりの可能性を信じる煉獄の言葉は、次世代の成長の確かな支えとなる。

煉獄と共に戦いながら成長していく主人公の炭治郎 (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
煉獄と共に戦いながら成長していく主人公の炭治郎 (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable