2019年9月20日、ニュージーランド首相、ジャシンダ・アーダーンさんとともに来日したエデュケーション・ニュージーランド(留学プロモーションを行う政府機関)のチーフエグゼクティブ、グラント・マクファーソンさんに日経doors編集長の羽生祥子がインタビューを行った。「女性が活躍しやすい国」として知られる同国の教育、キャリア構築、留学の魅力について話を聞いた。

(上) なぜニュージーランドは女性首相が3人も誕生したのか ←今回はここ
(下) 「羊の国」から脱却 ニュージーランドのIT企業立国(Coming Soon)

世界一「女性が活躍しやすい国」、背景にあるのはフェアな教育

 現職のアーダーン首相を含め、これまでに3人の女性首相が誕生しているニュージーランド。政治、ビジネスの分野においても「女性が最も活躍できる国」として知られ、さまざまな人種が暮らす多民族国家として発展し続けている。

 民族、性別、宗教を超えた多様性のある社会の実現のために、ニュージーランドが実施している教育やキャリアパスを聞いた。

日経doors編集長・羽生祥子(以下、羽生) 日本では、いまだ女性首相の例がなく、政治・経済の分野でも女性リーダーは少ないのが現状です。今の日本のカルチャーだと、女性首相誕生はまだまだほど遠いと感じます。ニュージーランドは、なぜ男女平等が実現できるのでしょうか?

グラント・マクファーソンさん(以下、マクファーソン) 女性首相の擁立をはじめ、何事にも時間はかかるものです。教育について言えば、ジェンダーだけではなく、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが、平等に高い水準(※)の教育を受けられるようにすることが大切だと考えています。

 教育システムに関しても、私立、公立、共学、男子校、女子校とさまざまありますが、単純に高水準の教育を提供するだけでなく、各生徒に合った教育方法を実施しています。男女共学に適している生徒もいれば、男子校、女子校で自分らしさを発揮できる生徒もいるので、生徒それぞれに適したスキルと姿勢を身に着けるための教育の選択肢を重視しています。

 ※英誌『エコノミスト』の調査部門による「未来教育指数」では、2年連続で英語圏1位になるなど、社会を生き抜くために必要とされるスキルを提供している点でニュージーランドの学校教育システムが常に高い評価を得ている。
「日本では性別によって仕事内容や給与、昇進に差があることがまだ多く、若い世代が海外へ逃げてしまわないか心配です」(羽生)
「日本では性別によって仕事内容や給与、昇進に差があることがまだ多く、若い世代が海外へ逃げてしまわないか心配です」(羽生)