再演から2年、その間の経験が演技に生きている
―― 剛力さんが演じるマリア・シュタインは、天才だけど偏屈でもあるベートーヴェンを支えながら、彼に秘めた恋心を抱いている役ですよね。マリアとご自身で、似ていると感じる部分はありますか?
剛力 怒ると早口になるところは、似ていると思います(笑)。ベートーヴェンに対する恋心も、理解はできますね。彼は偏屈ではあるのですが、心に葛藤を抱えている人なので、放っておけないタイプというか。それに、才能がある人は魅力的ですよね。マリアを演じながら、何か大きなことを成し遂げるには、このぐらい変わり者でないと無理なのかな……と考えていました。
―― マリア役では20代から40代までを演じていますが、同一人物の年齢差を、どうやって演じ分けていますか?
剛力 特に意識しているのは、声のトーン。20代のときは高めの声で、30代からは徐々に低くして、40代ではどっしりした声にしています。しぐさや姿勢、歩き方も変えていますね。
剛力 20代を演じるときには、過去の自分の経験や感覚を思い出しながら演じることもあります。前回の2018年の公演でマリアを演じたときは、私は26歳。今回は28歳。この2年間で私が経験したことも、演じることに生かされていると思います。2年分の経験が加わった分、前回とは演じる感覚が少し違っているので、前回見た方にも新しいマリアを見てもらえると思います。