世界を旅して気づいたシェアこそが平和のカギ

 平和研究ができる国際基督教大学に進み、平和学を学びました。ただ、そこで学んだのは「政治や経済からなる利害が前提となる解決手段は、誰かが必ず痛みを伴う」ということでした。それが本当に平和につながるのかと疑問を持ちました。そして世界中を旅して「What is peace to you ?(あなたにとって平和とはなんですか?)」という問いかけをスケッチブック片手にしながら回りました。

 すると皆、口をそろえて言うのが「平和とは家族と共にいること」「愛する人と一緒に過ごすこと」というものでした。つまり個人と個人の感情がつながって、互いを思いやり、助け合う、自と他という境界線をなくすことが平和へのカギだと気づかされました。

 大学卒業後はリクルートに入社しましたが、大企業の人事に関する仕事をするなかで、「個人の意志よりも企業の論理が優先される」という構造に疑問を持ちました。もっと個人が自分の意志で働く場所や仕事を選ぶことができればいいと思い、こうした状況もシェアで変えられるのではと考えています。

 テクノロジーの発達により世界中の誰とでもオンライン上でつながることができるし、自分のスキルを世界の人々に提供することも可能です。こんなライフスタイルが浸透することで、国や企業が決めたルールに依存しなくても、もっと自由に豊かに暮らすことができるようになります

 次回からはシェアを取り入れることで、日々の仕事や生活がどう変わっていくか、より具体的にご紹介します。

取材・文/川辺美希  写真/鈴木愛子