人のつながりや個人の自立といった、お金やモノに頼らない価値で人生を豊かにする「シェア」の考え方を広めている石山アンジュさん。前回は自身がシェアを勧める理由について語っていただきましたが、今回は、シェアが仕事やライフスタイルを具体的にどう変えるのか、教えてもらいました。

自分の特技が収入になる スキルシェアのススメ

 「シェアを取り入れた生活のメリットは何ですか?」と聞かれたら、私の答えは「居場所や頼れる先、つながれるコミュニティーが増えること」となります。その考え方は、働き方についても同じです。前回お話した、会社に雇用されていると組織の論理が個人の意思より優先されてしまうという問題についても、シェアは解決できるのです。

 会社勤めをしていると、給料が毎月払われて安定していると思えるかもしれませんが、時に、人々の生活を大きく変化させます。例えば、転勤の辞令によって、家族が離ればなれになることや、不景気によるリストラで退職を余儀なくされることも。時には経営破綻などをした場合、勤めていた会社がなくなってしまうということもあり得ます。

 ただ、シェアリングエコノミーのプラットフォームを活用すれば、会社に依存しない働き方をすることができます。

石山アンジュさんが住むシェアハウスでは、それぞれが持つスキルの交換をしているという
石山アンジュさんが住むシェアハウスでは、それぞれが持つスキルの交換をしているという

 例えば、個人間や、個人と企業が直接仕事を受発注できるプラットフォームがいくつも登場しています。会社組織に属していなくても、スキルや場所・時間、持っているもので収入を得られます。私がリクルートを退社後に勤めたクラウドワークスでは、シェアによる仕事を通じて人生が変わったユーザーに何人も出会いました。保活がうまくいかず会社を辞めた人や、家族の介護のためフルタイムでの勤務が難しくなった人が、これまで培ったスキルを活かし、そのスキルをシェアすることで会社員時代より多くの収入を得ているパターンもたくさんありました。