「週刊SPA!」の「ヤレる女子大生RANKING」企画に抗議したり、性犯罪の刑法改正を求めて署名を立ち上げたりとアクティビストとして活動する山本和奈さんは、南米に活動拠点を移し、女性や外国人など、声を上げたくても上げられなかった人の代弁者になるべく活動を続けています。そんな山本さんが「ここ、ちょっと、おかしい」と思うことについて、鋭い視点から指摘してくれます。4回目は「女性だけに課される高いハードル」についてです。

女性は失敗が許されない

 「あなた(妻)は完璧でなければいけない。そしてチャーリー(夫、父親)が腐り果てても関係ない。あなたに求められているものは、夫とは異なりハイスタンダードなのです」

 「So you can be perfect, and Charlie can be a fuck up and it doesn’t matter. You will be held to a different, higher standard.」

 これはさまざまな映画祭で上映され、ネットフリックスでも注目を集めている映画「マリッジストーリー」(2019)の一コマ。離婚を通じて子どもの親権に対し裁判を起こしている夫婦の妻(ニコール)に、彼女の弁護士(ノーラ)が話したことだ。私はこの言葉に考えさせられた。

 女性なら誰しもが直面する「失敗が許されない」高いハードル。その半面、存在するのが社会的に圧倒的な「低い期待値」。日本でもそれを象徴するような事が起きている。

 2018年、医学部の入試で女性の合格者を減らすように操作が行われていた問題が多くのメディアで報道された。つい最近も聖マリアンナ医科学大学の第三者委員の調査報告書が発表され、話題になった。こういったことが起こるのは、「女性は結婚したらすぐに辞めてしまう」「子どもができたら働けるわけがない」と女性に対する低い期待値が、入試に対するバイアスとなっていると思う。

日本では医学部受験で女子学生を不当に扱う問題が相次いだ(写真はイメージです)
日本では医学部受験で女子学生を不当に扱う問題が相次いだ(写真はイメージです)

 こうした事態が起きていることは本当に残念なことだが、もっと残念なのは、それを受け入れてしまっている社会だ