「もういいかげん耐えられない」

 その1つが、日本の性犯罪に関する刑法について。2017年までの110年間変わることがなかったし、現状でもおかしい点はまだ残っている。日本で強制性交等罪の成立には不同意(意に反する)の性行為だけでなく、暴行・脅迫、心神喪失、抗拒不能などの厳しい要件が求められ、ただ「意に反している」だけでは成立しない。

 私自身、一人のフェミニストとしてこの状況はおかしいと感じ、2019年6月、女性や人権保護を目的に立ち上げた一般社団法人「Voice Up Japan」の代表として、性犯罪の刑法改正を求め署名活動を実施した。活動は性暴力被害者団体の「Spring」、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」という2つの団体と共同で実施し、4万5875人分のインターネット署名を法務省に提出した。

 なぜ、こんなおかしな状況がずっと変わらなかったのか。それは、意志決定の場にいる人々に当事者意識がなく、何もしてこなかったからだと思う。ずっと被害者の声は踏み潰されてきた。ただ、「もういいかげん耐えられない」という社会の声が #MeToo 運動につながり、新しいフェミズムの波となった。

 フェミニズムはそういった自分たちの権利が損なわれてきたさまざまな女性やマイノリティーが声を上げるきかっけとなる。

 逆にだからこそ、フェミニズムという言葉は「周囲を自分に都合のいいように調整させてきた人たち」の居心地を悪くする言葉とも思う。活動が広がれば、不満に思う人が増えるのが当然のことだ。