「幸せとは何か」を聞いて回った
大学2年が終わり、20歳になった私は交換留学先のチリに旅立った。留学の葛藤の中、将来について考えることが増えるたびに自分は何をやりたいか常に考えさせられた。
「自分は何をしているんだろう?」「このまま留学を終えて日本に帰って何があるのだろうか?」モヤモヤを抱きながらチリのパタゴニアに行く準備をしていたある夜、「そうだ、いろいろな人に聞けばいいんだ」と急に思い、自称Happiness Projectを始めることにした。
最初はパタゴニアに着いて出会ったレストランのオーナーさん。プロジェクトの趣旨を伝えると同時に「あなたにとって幸せとはなんですか?」と尋ねた。
「僕の息子。僕の家族も、僕にとっての『幸せ』。僕が働くのは家族のため。母や父、兄弟姉妹のためだ」
彼に続き、現地の人や自分と同じバックパックしている人に続けて同じ質問をし続けた。
「家族がいること、命があること」「自由があること、旅をできること」「いい友達がいること」「仕事があること」――そしてさまざまな人に質問していくと、何人かにこういう風に言われた。
「幸せって、案外シンプルなことなのだけれど、考えていなかったかもしれない。考えさせてくれてありがとう」
「幸せ」について考えるきっかけは確かにあまりない。特に今の若者は「夢」を持つことすら許されないというようにも思える。「自分の人生を自分の好きなように生きる」という考え自体がぜいたくな世の中になってきたなとも思う。