ただただ自分が嫌になった
「理想の体重は?」「モテる体重は?」と日本の異様な「モテ」文化と共に出される企画では「理想の身長1位は155~160cmで理想の体重は35~39kg」だった。ランキング形式で記載される数字にそのときは違和感さえ持たず、ただただ自分のことが嫌になった。自分のことを「デブ」以外思えなかった。
今思うと、ばからしい。体重と見た目は違うし、欧米やラテンの国ではカーブがある体形が美しいとされている。また、日本で「デブ」と言われている体重のほとんどは標準体重内だった。
だけど思春期真っ盛り、雑誌や周りの友人の影響で私は「自分はデブだ」と言い聞かせるようになった。 これを食べたら太る、食べたらダメ、彼女はなぜあんなにも細いのか? と自分を他人と比べ、雑誌などの「理想」と離れた自分をけなし、自己肯定感はどん底をついた。理想となる容姿、体形、性格になりたくて、自分が他の人と違うところがとにかく嫌で「自分らしさ」というものを忘れていた。
今の私を知っている人はカップラーメンや大盛りを時間構わず食べるのが「山本和奈」だと思っているかもしれない。
けれど高校の時は、細かいカロリー計算をして、低カロリーのお弁当に、お昼休みは筋トレ。部活の前は長距離走り、一切揚げ物を取らない生活をしていた。
「痩せたい痩せたい痩せたい」と呪文のように唱えながら、カロリーの数値を気にしてしまう。そんな中で「太った?」と言われたことがあった。
正直、食べ物が飲み込めなくなった。初めて、16歳の私は意図的に食べた物をトイレに行って吐き出した。