自分を認められず、食事が飲み込めなかった
食べる自分が惨めで仕方がなく、他人と違う自分が、雑誌に書かれた理想の体になれない自分が嫌で嫌で仕方がなかった。
「夕飯は基本的に取りません」と話す「ダイエット成功者」や「理想のボディ」の持ち主の発言を見て、「食欲」を持つことにさえ嫌に思った。
「太ってないよ」「痩せているよ」「かわいいね」と容姿を褒める声さえもばかにしているのか、と考えるようになった。
世界には満足に食べられない人がいる。毎食ありつけることも当たり前ではない。それを分かっているのに、食べたものを吐き出した自分に腹も立った。
どうしても自分を認められず、食事が飲み込めなかった。
「太ってるって?」と言われて気づいたこと
大学に入学した私は、高校生のときほど極端な生活はしなくはなったが、やっぱり「日本人」が多い環境にいたからか、自分の容姿を他人と比べていた。どう頑張っても自分の容姿に自信が持てなかった。
そんなとき、親友が住む米国のテキサス州を訪れる機会があった。肥満度ランキングで安定上位キープの米国、そのなかでも体格がいい人が多くいるテキサス。そこで私の考えは大きく変わった。
高校時代からの親友と2年ぶりに再会し、「自分は自己肯定感が低く、太っていることが嫌だ」と伝えた。すると友人は「は?太ってるって?」と唖然とした表情を見せた。
「和奈、デブっていうのは…この国をみたら分かるでしょ?」と言われる友達の言葉が突き刺さった。
周りにいる人と比べていることは同じかもしれない。だが明らかに「肥満体型」の人が通りすがった中、今まで自分に言い聞かせてた「デブ」という言葉が急にばからしくなった。
なんでこんなにも責められた気分になっていたのか、なぜ今まで食べ物を「おいしい」と感じることさえ拒まなければならなかったのか。
そして、米国では体形だけでなく政治や男女平等についても、「自己主張」ができる、エンパワーされた女性が多い。そんな女性たちに囲まれて、外見だけでなく自分に自信を持ち始めるきっかけとなった。