助けてという声が聞き取れていない

 厚生労働省のデータによると、18年の日本の自殺者は2万840人。「助けて」というそのかすかな声を聞き取れていない社会だからこそ、声を上げる事も難しい。

 いま、特に強い問題を抱えていなく、満たされた生活を送っている人こそ、周囲に積極的に耳を傾けてほしい。それが何の問題にも当事者意識を持たない、持たずにすむ人の責任だと思う。必ずかすかな声が聞こえてくるはずだ。

フラワーデモの様子。私も参加して性被害者の話を聞いた
フラワーデモの様子。私も参加して性被害者の話を聞いた

 日本でも様々なところで「声」が上がっている。その一つが、19年4月から毎月11日に行われているフラワーデモだ。このデモは性暴力に反対するための運動だ。「性」について語ることがタブー視される日本では性暴力の問題も#MeToo(セクシュアルハラスメントや性的暴行の被害体験を告白・共有する際にSNSで使われるハッシュタグ)も、あまり知られていない。「自分には関係ない」というのではなく、足を運び、訴える声を聞いたり、思いやりを持つ行動を取ったりすることで、より優しい社会になると思う。

文/山本和奈 写真/大野真友(2枚目、3枚目)