2年を費やし、カウンセリングのロジックを構築

 AI美容部員を体験し、興奮冷めやらないNは、続いて開発者の松本さんにインタビューを行いました。松本さんが、このサービスを立ち上げた背景には、かつて化粧品会社を経営していたときに寄せられた、あるユーザーの声があったといいます。

 「化粧品メーカーやブランドの多くは、スキンケアのライン使いを推奨していますが、実際にユーザーの話を聞くと、ブランドをまたいで使っている人が多かった。洗顔は○○、美容液は○○というふうに、自分がいいと思うものを組み合わせていたんです。でも、ユーザーの視点に立って考えたとき、スキンケアの種類が多すぎて、自分だけでは選べないのではないかと思いました。

 そこで、国内にあるすべてのスキンケアコスメの中から、自分の肌に合うものだけをチョイスできるサービスがあったら、化粧品で失敗することがなくなるのではないか? と思ったんです」

 AI美容部員を実現するため、会社を売却した松本さんは、早速リサーチを開始。国内で販売されているすべての化粧品のデータベースを作成しながら、現役の皮膚科医や美容部員、エステティシャン20人以上とミーティングを重ね、カウンセリングのロジックを構築していったそうです。

 「美容カウンセリングの理論を築くのが一番大変でした。年齢と肌質だけで数十種のパターンがあり、お手入れ方法に至っては1万以上。人によって、肌悩みもベストなお手入れ方法も異なるので、パーソナルな悩みに対応するには、できるだけ多くの情報が必要でした。これらをまとめて、データ化するのに、約2年を費やしました」

開発者の松本剛徹さん。「ユーザーがブランドの垣根を越えて、スキンケアを選べるツールを実現させたかった。開発は大変でしたけど、今までにないものを世の中に提案できるワクワク感がありました」
開発者の松本剛徹さん。「ユーザーがブランドの垣根を越えて、スキンケアを選べるツールを実現させたかった。開発は大変でしたけど、今までにないものを世の中に提案できるワクワク感がありました」

 「メインとなる技術は、AI(人工知能)のビッグデータ分析と自然言語処理。カウンセリングのパターンと化粧品の膨大なデータをプログラムし、チャットボットを組み合わせたものでカウンセリングを行います。リコメンドに出てくる商品の口コミは、AIがネット上に出ているすべての口コミを収集してまとめたもの。常に更新されるので、最新の口コミやレビューを参考にすることができます。サービスとしてフェアでありたいので、ネガティブな口コミも排除していません」