「起業NEXTdoors」連載に登場し、大きな反響のあったビビッドガーデン代表の秋元里奈さん。2020年1月の取材では「今年は、起業家として次のステージへ進む年になる」と宣言していた通り、社員は増え、コロナ禍の中、運営する「食べチョク」は約6カ月で流通量を38倍に伸ばし、TVCMを打って瞬く間に急成長を遂げた。秋元さんは今、どんな状況なのだろう…。編集部は、約9カ月ぶりに会いに行くことにした。doors世代を代表する起業家・秋元さんの新連載がスタートします。

 こんにちは。ビビッドガーデンの秋元里奈です。全国の生産者さんから、新鮮な食材をお届けするオンライン直売所「食べチョク」を運営しています。

「食べチョクの秋元里奈です」
「食べチョクの秋元里奈です」

 新卒で入社したディー・エヌ・エー(DeNA)を辞めて起業したのが4年前のこと。私は実家が神奈川県の農家で、親からは「農家は継がなくていい」と言われて育ちました。

 就職したときは起業するなんて考えてもいなかったけれど、久しぶりに帰った実家の畑を見て愕然(がくぜん)。幼い頃に遊んだ自慢の畑、季節の作物がイキイキと育つ畑の姿は見る影もなくなっていました。途端に寂しい気持ちに襲われて、日本の農業が待ったなしの危機的な状況にあることを知りました。自分なりに何ができるか考えて、立ち上げたオンライン直売所が「食べチョク」です。

 最初は一人で、そのうち手伝ってくれるメンバーも増えて、組織は大きくなっていきました。その間、融資や株式発行での資金調達を行い、サービス拡充のためにまい進、まい進。

 素晴らしい食材を作っているのに、売り方の選択肢が少なくて困っている。そんな生産者さんを知るたびに「役立ちたい!」という気持ちがむくむく湧いて、サイトで売るための手伝いをする。各地の畑に足を運んでサービスの説明をしたり、ネットが使えない高齢の生産者さんに電話などでサポートしたり。ひたすらその繰り返しで、取扱数が増えていきました。

 流通量が爆発的に伸びたのは、この春です。